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甘味亭 真朱麻呂の部屋


[3654] 拝啓 無人駅から
詩人:甘味亭 真朱麻呂 [投票][編集]


なんにもないな
まったく
なんにもないな

雨が降っても
かびが生えても
無人駅の小さな小屋を掃除する人は見かけない

犬が小便しても
汚い臭いがしてても
消臭スプレー吹きかける人もいないから
ベンチにはいつもキノコがはえて
苔むしてる

拝啓 無人駅からお知らせです
こちらは無人駅です
忘れ去られたようにひとつ ポツンとある
小さな田舎の路線図に色あせて見えなくなってかすんだ文字で書いてある駅
駅だけじゃなく名前まで忘れられてる

まるで僕みたいだ
ああ 親近感感じるなあ
ちょっと汚いけど少しだけお昼寝
すやすや スーピー

グースカ
今日も用もないのに無人駅へ
日陰の下へ
意外と涼しいんだ
僕には憩いの楽園
マンガ喫茶より
もしかしたら家よりも居心地最高だよ

僕はこの場所が好きさ
都会のオアシス
忘れないよ
僕がいる限り忘れないよ
掃除もするよ
自分を掃除するように忘れられたくないかのように無意味でも僕は掃除をする

きれいにはならないけど少しは自分が好きになれるかな
重なる僕と小さな無人駅

今 僕はここにいるよ
見えるかい 僕が 空よ
聞こえるかい この声が
今 僕は歌おうと思う

見えるなら
聞こえてるなら
さあ 無人駅のすてきな名前を思い出してみて
そしてその名前を二度と忘れないで
抜けてますよ
ひとつ
大事な無人駅
大事な人間を
僕のことさ
僕のことさ
こいつのことさ
こいつのことさ
他人ごとのようで自分(わたし)ごと

不思議な場所さ

明かりを当てて
見つけてあげて
隠れてないから
みんなが見逃してるだけだから
見つめてあげて
明かりを当てて
小さくないから

きれいな都会の駅が見えるならすてきな自然に囲まれたこの駅も よろしくね♪

2009/02/14 (Sat)

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