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甘味亭 真朱麻呂の部屋


[3707] 幻の恋
詩人:甘味亭 真朱麻呂 [投票][編集]


これは何かの間違いだろう
じゃなかったら神様の手違いだろう
そうだろ 君よ
赤い運命の糸で結ばれてるはずの僕らに限ってさよならなんか無縁だよね?
でもあの日誓いに誓った永久につづく約束さえ揺らいでしまうほど離れてしまった二人の今は

愛はずっとあたたかいものだ さめるはずなどない
そう信じて疑わなかった自分さえ今では信じられなくなっているんだ

幻の恋は瞬く間に消えたのに
未だ僕を離さず
この心をつぶれるほど握りしめたまま
幻の恋が瞬く間に消えたとたん
すべて崩れる音
この心に響き渡ったのを確かに聴いた

それでも今もなお僕を苦しめる在りし日の恋よ
忘れがたい君の顔
忘れがたい君の薫り
忘れがたい君の涙
忘れがたい君の笑顔
そして君と積み重ねたさよならするまでの時間
あまりにきれいすぎて今もまだ新しく色あせず僕の中で息づいているんだ
終わったことにも気づかないままあまりに唐突な恋はそのためきずあとだけがわずかに痛むだけ

そしてやがては僕は君のこと忘れちゃうのかな
あの夏もあの冬もあの夜も…すべてすべて

考えれば考えるほど悲しくなるのにね
なぜかためらわない僕がいるんだよ
回り続ける季節の中
立ち止まってもいられないから前に進むしかない
君を忘れるべきかどうなのか未だわからずに忘れたふりしてきちんと抱えています

幻と消えた恋でも僕には記念すべきはじめての恋 奥手な僕が恋に手を出した勇気あるあかしだ
大切な思い出さ
たとえどんな終わりだったとしてもただ悲しい思い出とか悲惨な記憶だったとか思いたくはない
それだけにそれだけに素晴らしい恋だった
さよならは悲しかったけどそれまでにかみしめた時間はまだ僕の中で生きて命のように脈打ってる

だから きっと忘れるだけがすべてじゃないともう一度忘れようとした記憶を胸に刻んだ。

2009/02/28 (Sat)

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