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甘味亭 真朱麻呂の部屋


[3853] まほうのつばさ
詩人:甘味亭 真朱麻呂 [投票][編集]


つばさとは本来背中に生えるものだけど人間のはちょっと違うんだ
背中じゃなくて心に生えてる

不思議な力は何もないけど望めばどんな未来も手に入る
少しの努力と忍耐でたいていの夢はつかめるつばさがある

そのつばさを誰もがもっていて夢を叶えた数だけ一枚一枚ぬけ落ちるから夢が叶った数だけぬけ落ちる 羽はよけいな数は生えてないから死ぬまでにはほとんどの羽がぬけ落ちて翼は跡形もなくなってるはず

それでもなぜか僕は物心ついたときから翼が一枚もなくなっていた というより生えていた記憶さえない
夢は愚かな欲望のことを言うんじゃないだけどもともと翼は見えないものだから無くてもあってもあまり変わらないんだけどきっと僕は思う
今がとても幸せで今以上の願いが存在しないからだと
欲望や願望なんて本当の夢とは言いがたいから
今ある幸せ 今ある生活こそが夢そのものだと思う
だから願うなら
ずっと今の幸せが続くこと
ただそれだけ
僕は願う

たった ひとつの幸せ
人間の
何も授かってなくなんかない
神様からの贈り物はちゃんと届いてた
それは今という幸せの景色の中にゆれる笑顔やぬくもりがそうです
ちゃんと生まれたときからあったんだね
本当の願いを叶えてくれてたんだね
神様 ありがとう
目がひらいてはじめて自分の目で世界を見たときそこにあった幸せが今もそこにあること
なんて幸せだろうか
気づいてなかった自分がばかみたいだな

でも思うよ
気づけてよかったと

僕にとってそんなありふれた幸せが翼だったんだ
楽園はすぐそばに
息もふれるほど近くにあった

ほら 今も いつも
ふつうでもシンプルでも最高な幸せはそこで僕に微笑みかける
世界一やさしい笑顔で僕の哀しみをそっと包むように手をさしのべる
信じてはいないけどそれこそが僕が唯一信じられる魔法だ。

2009/04/02 (Thu)

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