詩人:甘味亭 真朱麻呂 | [投票][得票][編集] |
心からはみ出した悲しみがほらこんなにせつない
思い返してみれば今まで思い出を見返していないんだ
今は目先の日々が精いっぱいで過去を思い出し耽る余裕などないから
僕にはどうにもできないのに時間にだけは忠実な日々気泡のようにかんたんに消えてく
でも確かにそこで僕はなんやかんややって生きていた
今してるような繰り返しと同じ繰り返しをずっと繰り返してきて今でも変わらず繰り返してる
失敗も涙もすべては僕が歩んだ足跡さ
そんなものが僕のいたあかしという影
もう確かめることさえ難しいけどほらこの景色に思い出重ねれば忙しい中でもきっとあのころのメロディ聞こえてくる
ずっと先のほう遠く揺れてる 昨日たち
そこにいた僕 笑ってた僕が嘘のようでも今の笑顔と何ひとつ変わらない笑顔だよね
今はもうこんなに遠い
それでも素晴らしい時の流れにおしえてもらうことは数多い
手をぎゅっと伸ばしても空を切るだけの手がつかんだものは大人への免許証
幼さは不要なのか
やさしさがその中に詰まっていても
僕は思い出忘れないから 思い出もちゃんと僕についてきて途中でいなくならないで
時間を連れていけないなら思い出だけでもせめてもっていくよ
この傷だらけの小さな両手で
あのころから比べればだいぶいろいろ変わったよ
見てきた景色 知らないあいだに悲しいほどコンクリートに埋め尽くされた街
このまま思い出もコンクリートになってしまいそうでこわいから捨てられない
捨てたくない
ほら振り返れば夕陽が僕を照らす
あの日何回くしゃみしたかなとか そんなくだらない思い出さえ大切で振り返れば夢の如し
せつなさは同じ
されど喜びも同じ
変わったものばかり考えたり見ないでいつまでも変わらないもの見ていこうよ
涙に暮れる日も笑顔咲く日もあいかわらず生きていこう
それだけでいいから。
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