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甘味亭 真朱麻呂の部屋


[4091] 死に逝くぼくに弔いを
詩人:甘味亭 真朱麻呂 [投票][編集]


さえない日々に微笑みをください
笑えない現実に温もりを注いでよ
退屈な毎日にスパイスをまぶして
厳かな時の流れをせき止めて
耳障りな誰かの声に心にも耳栓をしたい気分になる

悲しみに微笑みを
喜びに
罪深い昨日に懺悔を
なくした過去に弔いを
傷つけたあの人に償いを
できるなら間に合うなら今すぐ歌にでもしたいな

流した涙
失われた何か
無駄に手にした笑顔
それでもここに残したい 生きた証だけでも ぼくが生きた証として ひとつ

もう今日がおしまいになれば今日のぼくには会えませんね
二度と 会えませんね
だから早いうちにさよならをしよう
明日のぼくは今日のぼくとは別人なほどに笑うから 今日の涙を笑うから

死に逝くぼくに弔いを
心を忘れたぼくになぐさめを

花束 そっと投げて
ごめんとだけ昨日のぼくに言いました

あとにはただなにも言えずに立ちつくすぼくがいただけ
ぼくがいただけだ

そしてやがて昨日も今日も明日もわからない日付もない世界へ逝くだろう
夢も朝も飯も関係ないなにもしなくてもいい楽園へ行けるだろう
都合いいような都合悪いような運命だ

でもそれだけは確実だから宿命に降参してさ
白旗を振るぼくだった

天気雨パラリ急に降ってすぐ止む ぼくみたいに不安定ですっきりしない運命は明日も回る さび付くことのない歯車は今のところ壊れる予定もなく人々の生き死にを見送り見届け時に迎え入れる
移ろう時の中で
いつかぼくにもそうしたように やがてぼくにも同じ終わりを告げんだろう
朝か夜かのいずれかに
午前か午後のいずれかに。

2009/05/13 (Wed)

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