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甘味亭 真朱麻呂の部屋


[4157] 偽りは真実よりやさしく
詩人:甘味亭 真朱麻呂 [投票][編集]


本当の事を言われた時に嘘でもいいから大丈夫だよという誰かの声がほしいよ
嘘は不安でどうしようもない心の隙間を埋めるためにあるのさ
ほら
嘘だって時にはありがたく響くさ
君を救う味方になるよ

躓いたときに誰かに言われたいのは
嘘でも平気だよという優しい言葉
嘘は嘘でもそれは心地よい真実なんかよりずっと丸みを帯びた愛のようなもの

時に真実より僕は
偽りに恋して
逢いたくなるよ
すっごくすっごく
離れた恋人のように
なかなか会えぬから
やさしい嘘に会えた時は満面の笑みで出迎えよう
大好きな君と一緒に
大好きな君と一緒に

時にあたたかい横顔をみせる偽りはずっとずっとずっと本当の事しか伝えぬ真実よりやさしくやさしく響く

つまらない常識やマニュアル通りの物事にも嘘を加えればユーモアが生まれるよ
楽しく楽しくなるよ
きっときっとさ

嘘に泣かされ
嘘に笑わされ
嘘に傷つけられ
嘘に愛され

それでもやっぱり嘘を恋しく思うのは人の中に何かこうひねりがかかったような面白味を求める気持ちがあるからだ
本当の事は本当の事でそのまま受け入れ惨たらしい現実はやさしい嘘で目隠しモザイク
見たくない景色は遮断するよ

たとえ本当の事
ずっとわからなくても知らないほうが幸せな事もあるから
すべてを受け入れること すべてを笑顔で理解できるには僕らの心では荷が重すぎる
だから受け入れがたい現実に偽りの魔法かけてさも美しく見せるのさ

モロに傷つかないように
その先を生きたくなくならないように
嘘は所詮 嘘
されど弱い人間には強い味方です

僕は嘘も真実と一緒に愛してる
このまま愛してく
たとえ嘘が本来の鬼の顔見せようと僕はぐっとこらえて嘘の猛威が過ぎ去るのを待つから
見事なまでの隠蔽を涙に施して
涙で前が見えないから。

2009/05/22 (Fri)

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