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甘味亭 真朱麻呂の部屋


[4213] 大怪盗
詩人:甘味亭 真朱麻呂 [投票][編集]


僕の街では夜深くなるとどこからともなくあらわれるその名も大怪盗
貧しい人のため 生活苦の人のため
金持ちや悪い奴らから宝石や金を盗み出してくばるのさ

僕も何度か見てる
新聞やテレビで
華麗なもんだ
警察もまるで子供みたいで役立たずだ
あいつにかかればイチコロだ どんなセキュリティーも

そんな夢のような
おとぎ話に憧れてた
僕も大きくなったらあんないい人に…いい人になるんだ

そしてオトナになってからわかったよ
それは罪だと
それは罪だと

なぜ教えてくれなかった…大怪盗

リアルがつぶす夢
リアルがあるからこそゆるされない夢
通らない理屈
リアルの壁
リアルの壁
壊せない
僕の力では

ああ あなたのような勇気も僕にはない…大怪盗

だけど夢を魅してくれてありがとう
それだけを伝えたら僕はリアルな世界に舞い戻る
夢から目覚め
夢から目覚め
母の声がして
みんなの声がして
笑顔と涙 咲く
現実に舞い戻る
大怪盗
君とはまた夜までお別れ
心配するな
しばらくの別れだ
また会える
また会える
大怪盗は微笑んだ
つよくよわく
僕は精一杯うなずいた
それでも枕をぬらす
それでも涙は流れる
僕には親切すぎる優しい嘘をありがとう
大怪盗
さようなら また会える日まで
いつか再び連れて行って
夢の世界へ
秘密の鍵をあけて
その向こうへ連れて行ってね。

2009/06/02 (Tue)

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