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甘味亭 真朱麻呂の部屋


[527] ユメヒツジ
詩人:甘味亭 真朱麻呂 [投票][得票][編集]


昔を懐かしむなら十分すぎるほどの思い出なのに
思い出すたびなぜか切なさこみ上げる
昨日に未練を残したまま
僕は今日にいる
行き過ぎていく時間を
ただ見送ることしかできないのが
どうしようもなく悲しい

人は最後には必ず死んでしまう
なら人は何のために生まれてくるんだろう
目的意識もないまま大人になった人は何を灯りに暗闇を進めばいいですか?

忌々しい
あの日の後悔
思い出したくもない
張りぼての青春
なぜそんなことほど忘れず覚えてるんだろう
バカに不思議で
実に不愉快だ
今思い出しても
腹が立つ

人生という
おそろしく長い
ユメをみせられているみたいだ
現実はいつか
幻みたいに
パッと消えてしまう
さっきいた人も
生まれたばかりの赤ん坊も
家族の幸せな時間も
何もかも時間は酷く奪っていく
まるで
すべてユメでしたとでもいうように

ユメヒツジよ
僕のこの退屈な現実という悪夢を
残らず食い尽くしてくれ
それがダメなら思い出せないように
悲しい記憶を思い出ごと食べておくれ
切なくなるだけの思い出なんて
何の価値もヘッタクレもないから

一生のお願い
聞いておくれよ。

2007/02/17 (Sat)

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