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甘味亭 真朱麻呂の部屋


[636] 忘れ去られた記憶
詩人:甘味亭 真朱麻呂 [投票][編集]


昼過ぎから降り出した季節はずれの雨
アスファルトをかるく削っちまうほどの強い風
胸の奥に押し込めていた思いが溢れだしてしまいそうなくらい涙

そう気づけばそれはすべて
蒸し暑い夏の幻だったのか
ひどいのどの渇きと生ぬるい風
息を荒くして目覚めた夜は
汗のによいと虫の鳴き声だけがはらむだけの真夏の深夜

忘れ去られた記憶を手繰り寄せれば
何かつかめるかなって
思っていたけど
現実はそんなに甘くはなかった
ただ切なさとはかなさを引き連れて
季節をまた一つ巡らせていくだけ

あの日の夜など
思い返してみたところでまぼろし
真夏の熱帯夜と寝苦しい夏がまた巡り来るだけ。

2007/03/10 (Sat)

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