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甘味亭 真朱麻呂の部屋


[748] 『多重人格者』
詩人:甘味亭 真朱麻呂 [投票][編集]


生まれもっての醜さは誰のせいだ
心も姿形もなぜこんなに醜いんだ
そのせいで僕は光にさえ見放され
闇に生きるしかなくなった
この責任は誰が償うんだ

関係のない者はきれい事で宥めてる
腐った心を持った賢い奴はただあからさまに僕を嫌った
本当の正しさをはき違えて育った大人たちはそんな僕を悪魔だと言いやがった

口の中に残る今朝食べたピーナツバターのあの甘ったるい味
ずっとつけっぱなしのテレビが報せるここ一週間の天気
立て付けの悪い窓から見える濁りきった灰色の曇り空
しとしととぱらつき始めるにわか雨

醜さは誰のせいにもできはせず
明らかな間違いを正当化したり
誰かに平気で嘘や傷つける言葉を吐ける
その心こそが悪いんだろう
そしてそんな心を持ってしまった僕は
もっと悪いんだろう

口癖みたいに言う「何とかなるだろう」
何とかなるなら苦労はしねえよな
それなのに何とかなるだなんて言い訳にも程がある
そう言う僕が自分でも吐き気がするほど嫌いだ

僕の中にいる何百何千の人、人、人
様々ないくつもの感情、感情、感情
まるでそれは多重人格者のように
僕を道化にも騎士にも修道士にもする
そして一歩間違えば恐ろしい殺人鬼にだってなる

それが愚かな僕ら人間だろう?
それが僕らに架せられた刑罰だろう?
人間の本来の正格を封じるための心につながれた冷たくさび付いた人格を保つ鎖何だろう?

それが外れてしまえば
まるで狂ったみたいに僕らは鬼にも蛇にだって化すんだろう
それが僕ら人間だ
それが僕らの心に中の深い深い底知れない闇の正体だ。

2007/03/23 (Fri)

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