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甘味亭 真朱麻呂の部屋


[814] 『罪な唇』
詩人:甘味亭 真朱麻呂 [投票][編集]


アナタのその唇は罪な唇
私をこんなに骨抜きにして
アナタと目を合わすだけで
こんなに胸が鼓動する

アナタの優しさが
アナタの声が
アナタの眼差しが
全て私に向けば良いと
何度考えたか知らない
アナタはとても優しく
それは誰にも変わらない優しさで
愛とか恋じゃない
アナタの生まれもっての優しさで
私はその優しさにふれる度
とても悲しい気持ちになる
アナタはそんなに優しくてステキなのに
何故恋や愛を知ろうとしないのか
それが不思議でならない

アナタはいつも独り
絵を描くのが好きで
良くこの場所で
広いこの原っぱで
絵を描いていたね
遠くからいつも見ていたよ
アナタの描く絵はとても上手
だけどとても悲しい絵だった
アナタの震える手は
もう残り短い命を教えていた
私は知っていた
アナタの病気の事も
アナタの淋しさも
知りたかったから

私には何一つできやしない
だけど私はアナタの側に誰よりも付いていたかった

私を唯一の恋人として見てほしかった
それでもアナタは
きっと優しい人
それでもアナタは
きっと欲も汚れもない人
あの日くれた最後の口づけは優しさでいっぱいの
そんな甘く悲しい
味がした
私の心に今も残る
アナタの笑顔と
この唇にかすかに残る
アナタにとっての愛
私は今でも そう
アナタを愛している
誰よりも きっと
この先もずっと
アナタを愛している

私を置き去りに
先に逝ってしまった
でもアナタの残した
この思い出をぬくもりに
私は生きていくことを誓った。

2007/03/29 (Thu)

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