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甘味亭 真朱麻呂の部屋


[831] 月と手袋(後半)
詩人:甘味亭 真朱麻呂 [投票][編集]


死という名の終わり
そして再び
生という名の始まり
僕は 今
感じてる
髪を撫でるこの心地よさを
手を握るあなたの温もりを
憎しみから憎しみへ
愛なら愛へと
決まった形ではなく
いつも形を変えて
愛は僕らの明日を
見えない闇に隠すだろう
静寂の中
漆黒に色を付ける
懐かしい記憶の中の
メロディを奏でながら
時は美しさを餌に僕らを死へ誘う
甘い甘いによいにたちこめた
偽りの楽園の扉
開けばもう戻れない
死という奈落

そして私は繰り返す
愛も欲望も違えなく
常に最上を求める
そのためなら罪も罰も背負う覚悟で
僕は美をはき違える
後悔の念を抱き
逆立つ愚かさに
気づきもせず
僕は繰り返す
積み重なる日々の中で
引き抜いたのはたまたまあなた
偶然の導き

愛は遠ざかる僕を永久にも待つ
そう言うあなたは信じず笑う
愛欲満たす
ただそれだけのお遊戯
ただそれだけに僕はあなたを騙せず
裏切れず
僕はあなたを愛す宿命を受け入れる
それがきっといつか見えた光だと信じて

闇に差した
一筋の光
月の光さえ届かぬ
漆黒の中
あなたは優しく尊く
僕を抱きしめ
愛をくれた
今まで感じたこともない愛の歌を唄いながら
汚れることも気にせず手袋を外し
そんなことなど気にも留めず心にもなく
私に手をそっと
差し伸べてくれた。

2007/03/31 (Sat)

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