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甘味亭 真朱麻呂の部屋


[903] さよならの旋律
詩人:甘味亭 真朱麻呂 [投票][編集]


冷たい心の牢獄に
閉じこもる日々
窓の外では
昨日からずっと降り続く五月雨
浮かんでは消える
いくつかの想像(おも)い
さよならした日は
いつもこんな感じ
どうして
どうして何だろう
心がこんなに痛むのは
どうして何だろう
周りからの励ましが雑音に聞こえる
耳を塞ぎ
膝を抱え
俯いたままの僕
聞こえるのは
窓のわずかな隙間から吹き込む雨音
それと微かな風が木々を揺らす音

そうして
僕は堕ちていく
悲しみの坩堝へ
そうして
僕は傷に唾をぬる
一時的な気休め

嗚呼(ああ)
心の奥響く 不協和音
悲しみの旋律
僕は今まで何度この音色を耳にしただろう
嗚呼
きっと数え切れないほど
僕は耳にしてきた
それは僕にしか聴こえず
僕にしか解らない
いわば悲しみを背負った故の
傷を負ってしまった故の旋律なのだ

夜になっても
雨は止まず
一睡も眠れないまま
僕は朝を迎える
昨日流した涙のせいで
鏡に映った僕の瞼が腫れぼったくなっていた
変わったものは
唯一
嘘のように止んだ雨風
只それだけだ

そうして旋律は
再び僕を苦しめる
裏切りのない
純粋を手に入れられるまで
この胸の中
心の奥底で
その耳障りな
不協和音を奏で続ける
それでも僕は
きっとまたくり返す
傷みと悲しみを
背負っても
まだ信じる心を胸に微か残しているから。

2007/04/09 (Mon)

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