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甘味亭 真朱麻呂の部屋


[951] 五月雨 (後半)
詩人:甘味亭 真朱麻呂 [投票][得票][編集]


嗚呼、
雨が降る日の夕焼けは
濁っていて汚い色をしてる
あんなにきれいなオレンジを濁った色がきたなく汚す

まるで今にも死にそうな目で僕はそんな空を不安げに見てる
両耳に付けたイヤホンから
しんみりとした歌声が淡々と流れる
心休まるその歌声はピアノの音色に合わせて歌う

ららる ららる
きれいなメロディ
るらら るらら
鍵盤を滑るなめらかな指
ららる ららる
終わらないそのメロディ
繰り返されるその声
何度も何度も繰り返し聴く
その度その度聴こえるそよ風のようなやさしい声

不安が少しだけ
和らいで
怯えも少しだけ
なくなって
それでも きっと
気休めだから
また明日になれば
不安は返ってくる
それでも 少しだけ
癒されたんだ
不安定な年頃の少年の耳には
その声が心のオアシスだったんだ
きっと きっと きっと…

窓の外
雨上がりの空
うっすらと見えた
空に架かる虹の橋
遠く聞こえる
子供達の笑い声
久しぶりの"彼女"からの電話

そっと立ち上がって
そっと階段を下った。

2007/04/17 (Tue)

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