北風ぴゅうぴゅう凍え震えて寝袋の中鬼の捨て子気味が悪いと誰の声鬼より怖い人の情痩せた裸木老婆のよう鉛色の冬空の下春を待ちつつ微睡む夢にちちよ、ちちよと鳴く子かな深雪しんしん重ねて積んで静寂の中親なし蓑虫蝶にはなれぬと誰の声虫より醜い人の心鋭い三日月刃物のよう深藍色の夜空の傷何を望んで紡いだ翅かちちよ、ちちよと春遠く
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