詩人:アル | [投票][編集] |
クロアチアの首都ザグレブ
セピア色の外灯に浮かぶ
白壁の街並みを
笛や太鼓に乗せた
シュプレヒコールや
消魂しいサイレンの
喧騒の中
反政府のデモ隊が
プラカードを手に練り歩く
「なんで止まるんだ!
先へ進めよ!」
急に動きを止めた
前方集団に
後列から怒号が飛んでくる
彼らが立ち止まったのは
菊の御紋のある
日本大使館の前
一人また一人
ロウソクのランタンを
地面に置いてゆく
事態を察した群衆が
横並びに整然と集まり
静かに黙祷を捧げ始めた
遠い異国の
3万人もの死者や
行方不明者のために
デモ隊は
暫くの静寂のあと
再び喧騒の中へと
戻って行った
ふと見上げれば
斜めに掲げられた
白地に赤の日の丸が
風にはためいている
その上の夜空には
乳白色の満月が
寄り添うように
浮かんでいた
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タバコに
火を点けようとしたら
きみが花のように
笑ってる。
灰皿からはすでに
煙が舞い上がってるし…
「2本同時に吸うの?」
舞い上がってるのは
ぼくの方らしい。
「靴だって
1足より2足を
かわりばんこに
履いた方が
長持ちするでしょ?」
「意味わかんない
アタシはクツなの?
だからフタマタ
かけるワケ?」
「え?
意味がわからない」
「見たよ?」
「何を?」
「ケータイ」
「最っ低だな」
「どっちが?」
「どっちも」
「...ねぇ、謝るから
許してくれる?」
「え?」
「...すいマイセン
なんちて」
「…」
絶体絶命のフェイズ
厚顔無恥なフェイス
一言多いんだ、いつも。
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何処まで行くのなんて
聞いても無駄だぜ
目の前で開いたドアに
飛び込むだけさ
行き先は知らない
目が覚めたら
新しい事が待ってる
そんな予感を引きつれて
序でに空も晴れたことだし
明日も晴れるかなんて
聞いても無理だぜ
雨が降るつもりならば
傘を差すだけさ
行く末は見えない
歩き出したら
いつか辿り着ける
そんな期待を膨らませ
序でに空も晴れたことだし
ぼくらの白い溜息
緑の木々たちが
出来たて酸素に変えて
おまけに風も戦ぐようだし
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ユキさん
今、話してても
大丈夫?
ええ、
恍ちゃんを
託児所に
迎えにいかなくちゃ
いけないけど…
じゃ、手短に。
鈴さん、
再婚するって話
聞いてる?
ええ、
相手の人は
同じ学校の先生ですって。
式は挙げないけど
内輪でパーティーを
開くからって。
善田さんも行くんでしょ?
いや、行かない
どうして?
だって
善田さんと光さん、
鈴さんの3人って
中学からの付き合い
でしょ?
相手の人に失礼な気がする
そう…かな?
…で、ユキさんは?
ん?
結婚しないの?
いつまでも
シングルマザーで
いるつもり?
今は恍のことで
手一杯だから。
それより
善田さん、
うちの恍に
「父上」って
呼ばせてない?
もうバレたの?(笑)
それ、
止めて下さい。
うちの両親が
最近うるさいんだ、
そろそろ身を固めろって。
勝手に一人で
身を固めて下さい。
善田さん
今はお寺継いで
ご住職なんだから
座禅組んで石仏にでも
なって下さい。
ユキさん
キッツイな(笑)
最近、あの子
「チチウエ
いつ来るの?」って
うるさいんですから
本当に止めて下さいね?
恍くん
使えるな(笑)
子供をダシに
使わないで下さい
僕じゃダメなのかな
ダメです
子煩悩な
いい父親になる自信
あるんだけどな
煩悩を絶つのが
お坊さんの仕事でしょ?
あたっ
痛いトコ突くね
あたし
そろそろ恍を
迎えに行かなくちゃ
電話、切りますよ?
縁は切らないでね?
ツー・ツー・ツー……
切られちゃったよ
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《有機合成・山崎社長》
いきなりで
申し訳ないが
ユウキさん
うちの会社に来ないか?
はい?
近々
うちの会社は水耕栽培の
工場野菜生産に参入する。
そのプロジェクトチームを
来月立ち上げる。
ユウキさんには
そこに入って欲しい。
…山崎社長
本当に有り難く
嬉しいお話なんですが
私にはまだ手のかかる
子供がいますし、
御社にご迷惑かけるのは
目に見えていますから
この話は…
そう言うと思っていた。
手は打ってあるよ(笑)
うちの社員食堂の裏に
遊休地がある。
そこに託児所を設けようと
私は考えている。
日本はこれから、
少子高齢化で労働力を
女性に頼らざるを
得なくなる。
うちは若い女性従業員が
比較的に多いし、
結婚までの腰掛けではなく
安心して働ける環境作りが
将来の社運のためにも
有益だと思っているんだ。
…お子さんの名前、
恍くんだったかな?
はい…
恍くんは
その託児所に預ければいい
昼休みや休憩時間に
恍くんの顔が見れるよ?
どうだろう?
社長、
本当にいろいろ
ご心配頂き
ありがとうございます(涙)
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《守ってあげたい》
ママ…?
ん?
恍のパパ
どこにいるの?
……。
よっちゃんにも
サキちゃんにも
パパがいるのに
なんで恍んちには
パパがいないの?
…恍。
…ほら、
あそにいるでしょ?
あれが
恍のパパだよ?
恍のこと見て
笑ってるでしょ?
あれは写真だもん
パパじゃないもん
恍のパパは
今、お空にいるの
恍いい子にしてる?って
お空からずっと
恍のこと見てるんだよ?
会いたいよ
パパに
今、会いたいの
パパ
今は忙しいから
会えないけど
恍が大人になったら
絶対会えるから
ママと一緒に
がまんしようね?
やだ
ママ、電話しよ?
電話ならいいでしょ?
恍がお願いするから。
ママも会いたいでしょ?
ぼくがお願いするよ、
したら
絶対パパ来てくれる!
恍…
ごめんね、ごめんね…
ママ、痛いよ
痛いってば
ママ、
恍のこと大好きだから
ぎゅってするの。
ママ泣いてるの?
ぼく悪い子なの?
ぼくが悪い子だから
ママ泣いてるの?
違うよ?
恍はとってもいい子だよ?
だからママ
恍が大好き。
恍もママ大好きだよ。
ありがとね、恍。
ママ、
泣いちゃダメだよ?
泣き虫は
いじめらるんだからね。
ぼくがママ
守ったげるから。
恍…、ありがと。
BGM.
鬼束ちひろ
「守ってあげたい」
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あの人と喧嘩してるの?
アホか
優秀な教師と
デキの悪い生徒の
やりとりを
ケンカとは言わない
じゃ議論?
それじゃ、まるで
オレがアイツと
対等みたいぢゃね〜か
議論じゃない
それは教育って呼ぶんだ
あの人いくつなの?
知らない
オトナ気ない大人
だろ?
どっちも(笑)
は?
…あのね
うちの保育園でね
きのう蜘蛛の巣に
引っ掛かった蝶々を
見つけたの
……。
ね、聞いてる?
聞いてるよ、で?
可哀想だから
逃がしてあげようとしたら
年少組の恍くんが
「クモが
かわいそうだよ」
だって
ん?
だから
蜘蛛だって
蝶々食べなきゃ
死んじゃうでしょ?
あぁ、そっか
あたし感動して
鳥肌立っちゃった
子供ってスゴイな…
うん
…ありがとな?
え?
きみが何を言いたいか
伝わったから
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PRIDE
腰に差して
斬りつけられても
抜かない覚悟
FAITH
胸に宿して
裏切られても
真っ直ぐ一途
時代後れの
サムライ・ロード
澄み渡る青空に
立ち昇る白い灰
雲となっても
MERCY
瞳に映して
何も語らず
我が道はるか
TRUTH
心に灯して
一つ一つが
命より大切
時代後れの
サムライ・ロード