詩人:アル | [投票][編集] |
毎秒4万kmで
天翔ける情念
僕の虹彩に
映った筈の
君の刹那の揺らぎ
切なさに
一歩足りない
気紛れな近しさは
君の彼や
僕の彼女の
指の隙間から
零れ落ちた雫
束の間
二人だけに見えた
淡く儚い七色の橋は
通り雨が残した
やがて消えゆく幻
秘密の宝箱は
いずれ埋めた場所さえ
忘れ去られるのだろう
西日に伸びた
四人の影は
大地に繋がれて
パラレルのまま
ゆっくりと
夕闇に溶けて紛れた
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…たぶん
突然変異の
ピュア原人2頭が
数十万年くらい前に
奇跡的に出会って
今のぼくらに連綿と
繋がっている。
周りはみんな心通わぬ
ケモノばかり。
弱肉強食の掟の下、
慢性飢餓と
命の危険に晒され
明日の見えない不安に
怯えながら
孤立無援の2頭は
身を寄せ合って
絆がより深く強く
結ばれていった…
ねぇ
聞いてる?
ん?
この新しいルージュ
どう?
あぁ…いんでない?
テキトーな返事
てか、さっきから
えらい時間かけてるけど
それは
誰に見せるためのメイク?
オレ、
きみのスッピン
知ってるから
オレのためじゃないのは
確かだよね?
どうせ一緒に歩くなら
キレイにしてる方が
良くない?
スッピンでも
充分イケてるよ
ハイ、お上手
で、その年度末工事
いつ頃終わる予定?
くらっ!
…オスが
鷲掴みにした紅花の束を
不器用に差し出した。
メスは
人類初のプレゼントを
受け取ると、
おもむろに
ムシャムシャと
喰い出した。
紅色に染まった
彼女のクチビルを見て
オスは胸がキュンと
収縮するのを感じた。
それは決して
空腹のせいではなく
初めて経験する感覚だった
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1年365日のうち
たった一晩だけ
世界中の人たちから
心待ちにされるけど
本当はみんな
運ばれてくる
小包みが目当ての
派手な服着た
白いおヒゲの配達人。
その姿が
雪に埋もれた
赤い郵便ポストみたいで
なんか泣けてくる。
お年寄りはもっと
いたわってあげなきゃね。
だから
ぼくんとこは
今年はいいから…
ホントだよ?
なんにもいらない、
気持ちだけで。
嘘じゃない、
やせ我慢じゃないってば
三太おじさん。
ふぁ〜…
なんだ
この虚しさは
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その足は
アルファベットの
「K」のように片足が
やや屈曲している
体は華奢で
ラッシュアワーの
駅の階段を
手摺りに掴まりながら
ゆっくり登ってゆく
痩せ細った筋力に
長い階段が過酷なのは
明らかなのに
エレベータには
乗ろうとしない
階段の途中で
暫し息を継ぐ彼女の横を
夥しい通勤通学の蟻達が
追い越してゆく
毎朝
同じ時刻の同じ電車
降りれば5回に3回は
彼女が前を歩いてる
来年には
その電車に乗る必要が
なくなる
それまでは見守るだけの
ナイトでいよう
顔さえ知らない
後ろ姿の君の
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きみに
あげるつもりだから
ぼくは
この至らない自分を
もう少し
好きになろう
だって
本当にツマラナイ物
人にあげるなんて
失礼だもんね
だから
ハニカミみながら
ハミングしてみる
きみさえ良ければ
探すの手伝って
くれないかな
とっ散らかってるけど
確かここいらへんに
埋もれているはずなんだ
きみに似合いの
これからのぼくが
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60度斜め上
真ん丸に少し足りない
乳白色
満ちれば欠けるだけなら
このくらいが丁度いい
蟻地獄さながらの砂時計
留め処なく減ってく現在
見る間に溜まってく過去
悪戯に繰り返される未来
90度直立して
身の丈に僅かに及ばぬ
影法師
明ければ消えゆくゆえに
この闇も名残惜しやと
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キレイって
漢字で書ける?
糸ヘンに
奇人変人の奇だしょ?
奇跡の奇とか言えないの?
あと、レイは…
鹿っぽかったよね?
シカっぽいって
もともと雄鹿の
象形文字だからね
眉毛ふたつと目がふたつ
みたいなのが
上に付いてるけど
あれは分岐した角を
表してるらしいよ?
へぇ、そうなの?
つか、おまえ最近
なんか綺麗だよな?
鹿みたいに…
ば・か
馬鹿って
おれが馬で
おまえが鹿か?
……。
なんだ、シカトかよ
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舌打ちしてる後悔
琥珀色の液体にただ酔う
いつも眺めていた光景
銀鼠色の波間に漂う
彼女は so cute
忘れられない
空打ちしてる警戒
群青色の宇宙に彷徨う
どこも逃げ場のない携帯
迷彩色の現実に戸惑う
She's そう きっと
忘れ慣れない
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温もりを含んだ
涙と溜息が
空へ昇って塵と積もる
冷たい風が吹く夜に
白い結晶になって
煌めきながら
大地へ舞い戻ってくる
朝になったら
それらを丸めて転がし
きみの小さな分身を作ろう
暖かい日には
帰してあげるから
空の話をしにおいで
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転んで
倒れたのは
立っていた証拠
最初からずっと
寝転がっていれば
こんな怪我を
負わずにすんだ
その代わり
忙しなく行き交う
人の足元ばかりを見て
暮らしていただろう
痛みが和らいだら
直ぐに追い付くから
お先にどうぞ