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アルの部屋  〜 新着順表示 〜


[178] 手乗り象
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こないだ
インターネットの
ヤッホーで
調べたんですけど…

山びこかよ!
しかもネタ古いわ!

すいません
間違えました
インターネットの
ビーグルで調べ…

犬かよ!
確かに鼻は利くけどね

ごめんなさい
インターネットの
ゴーグルで…

プールで泳いでどうする
どうせなら
グーグルで調べてね

そのルーブルで
調べたんですけど

ロシアの貨幣単位か!

そのロシアの
モスクワ大学の
チェルネンコ教授が
遺伝子操作で手乗り象を
生み出すことに
成功したようですね

手乗り象?

はい
手のひらサイズの象です

ほぉ〜

桃の葉緑素を細胞移植した
ピンク色の
手乗り象らしいです

へぇ〜

将来的には
手乗りサイや手乗りカバに
挑戦したいと…

画像とか実際に
なんかで見たの?

いえ
象だけに
見たのは虚像でした

いいかげんにしなさい!

2010/10/14 (Thu)

[177] ぎったんばっこ
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経験と歳月が
埃のように
降り積もるにつれ
NGワードも増えて
だんだん寡黙になってく

地雷を避けるように
言葉を選んで
手足を縛られても
自由な心は羽根を持つ

きみが沈むなら
ぼくが浮かんで
シーソーみたいに
代わりばんこに
視点を変える


今はただ
そこに座ってて
向かい合っていれば
多少気は紛れるから

重力に逆らって
何度でも
地球を蹴り返すけど
もしもぼくが疲れたら
少しの間
代わってくれるかい?

2010/10/13 (Wed)

[176] コンビニ・ライカー
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いつでも開いていて
Manual通りの
Smileでも構わない
SuperでなくていいからOK

深まる夜は不安が一杯
今もそこにいると
思えるだけで
小さな明かりが灯るYo!


とりあえず傍にいて
Materialな関係の
Styleでも大丈夫
Cheaperでも遠いならNG

朝も昼も真夜中も
心のドアを開いて
コンビニみたいに
誰かを待っているYeah!

2010/10/12 (Tue)

[175] 鈴虫
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雨病んで

鈴の音寂し

虫の宿

2010/10/10 (Sun)

[174] 因果Ah‐ha
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週末の朝
彼女は奥の部屋で
白いブラウスに
アイロンを当てていた

ぼくは
キッチン・シンクで
焦りに背中を焼かれながら
半ば諦めて髭を剃っていた

きみは郵便受けの
琉球新報を抜き取り
鍵穴にキーを入れて
ゆっくりドアを開けた

「あら、起きてたの?」

ぼくに
新聞を手渡したあと
玄関に揃えられた
見知らぬパンプスに
きみの視線が移動する
ぼくは
茫然たる想いでそれを
眺めるしか術がなかった
きみは静かにドアを閉めた

コツコツと
去ってゆく足音が
今も脳裏に響き渡る

「ん?なに?」
彼女が聞いた

「え?新聞…」
シドロモドロのぼく

他に答えようがなかった
それが如何に罪深くても

あれが全てだった
しあわせになる資格など
ぼくにあるわけがない

2010/10/05 (Tue)

[173] Around 19
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大学に
ふたり並んで
蹴り倒されて
寄る辺なく
汗ばんだ手を繋いで
一緒に漂っていた

きみは
大学生のニィニィと
ふたりでアパートを
借りて住んでいた

「夕方から
サークルの合宿で
俺はいないけど
よかったら
泊まってけよ?」
きみの兄貴が
さり気なくそう言って
出てゆくとぼくらは
ふたりきりになった

いつもと違う
夜の静寂に染められて
言葉が自分の役目を
忘れたように押し黙る

フローリングの一室を
二つの机で仕切られた
向こうとこちら側に
布団が敷かれた

湿った虫の音が
沈黙の夜を更に深くする


「…あ、蛍」

きみの声が
薄暗い部屋に点る

開け放たれた窓の
網戸を潜り抜けた
一雫の光が
闇に漂っている


「ほら蛍
指差すひとの
香ほのか」


それを切っ掛けに
ふたりは
ひとつの布団に包まって
初めての夜を明かした






「大丈夫?」

何年ぶりだろう
別れたのがまるで
昨日のことのような
話し方と懐かしいその声

「なにが?」

「黙って
こっち見てるから」

「はぁ?いつ?誰が?」

「あなたが、
昨日の夜、夢で」

「夢かよ!知らんがな
ギャラよこせよ(笑)」

「しあわせなの?」

「教えてやんない
きみは?
あ、やっぱ、いいや」

「なんで?」

「女って
しあわせでなければ
昔付き合ってた男に
電話なんか
かけてこないから」

「そうかな?」

「そうだよ」

「じゃ、
そういうことにしとく」

「うん、じゃ
元気で」

「うん…」

共に過ごした時間より
離れてた歳月の方が
はるかに多く降り積もった

この古傷を
暖かな想い出に包んで
やがて来る冬を
ひとり超えてゆく

ぼくは元気でいなくちゃ
きみのためにも

2010/10/01 (Fri)

[172] 
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気持ちに
正直でありたいと
思うほど
言葉が尻込みして
寡黙になる

隙間を
埋めようとして
焦るほど
ホントが軽くなって
嘘に変わる

伝えたいことは
多分ひとつだけなのに
上手な運び方を知らなくて
躊躇う腕の中で
見る見る鮮度を失って
手渡せなくなってしまう

2010/09/29 (Wed)

[171] 戸惑う星
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一生に1度だけ
交差した惑星同士

宇宙の脳裏に
ニアミスの
残像だけ残して
また別々の軌道を
描くために遠離かる

自分が
回ることばかりに
夢中になって
引力不足に戸惑う
重力のないふたり

2010/09/27 (Mon)

[170] 嗚呼、でも暮し〜
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いつも使っている
金属の円錐に
小さな穴の空いた
Coffee Dripperには
Paper Filterが
要らないから
エコロジーで
エコノミーな上に
あと処理が
水で流すだけの
便利なアイテム。
だけど肝心の味の方は
粉っぽくてイマイチ。

いまも支持できない
素人みたいな集団に
大きな亀裂が走って
Day Tripperには
Paper Charterが
要らないみたいで
エゴロジーで
エゴノミーの果てに
あと処理は
水と油で馴染めない
不便なシステム。
さらに肝心の政策は
荒っぽくてマチマチ。

ねぇ、
さっきまで
隣のテーブルから
長いストローで
ちうちう
あなたのコーヒー
吸ってた客が
今は堂々と
あなたの席に坐って
何か怒ったように
叫んでいますよ?
え!
いいんですか?
あなたはなんて
優しい方なんでしょう


そのお行儀の悪い客が
反対側に顔を向けて
ニヤリと笑うのを
ぼくははっきりと見た。


「せっかく、
ちゅうこくしたのに」

と何度、打ち込んでも
ぼくの携帯では
こう変換される。

「尖閣、中国にしたのに」

2010/09/18 (Sat)

[169] 驛舎
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改札のゲートは
朽ちた木製。
普段は無人駅で
通勤通学のラッシュ時だけ
幼稚園の制服みたいな
水色の開襟シャツを着た
お婆ちゃんが窓口に立つ。

「あんた、
こないだ預かった傘
持って帰り?」

高校生のお兄ちゃんに
その老いた「駅員」が
呼び掛ける。

ぼくは煙草を吸いつつ
ボ〜ッと考え事をしていた

「酷い有様でしょ?
この間の台風で
吹き飛ばされてね…」

声のする方へ顔を向けた。
ぼくに
話しかけているらしい。
目を向けていながら
何も見てはいなかったが
その老駅員の声に促され
改めて駅の建物を眺めると
木製の窓枠の半分がなくて
粗末なベニヤ板で
塞がれてはいるものの
それさえ反り返り
雨風が吹き込みそうな状態

「ここは
古い駅やけど、
珍しがって
写真とりにくる人が
結構いるんよ。
こんなん、
申し訳なくてな…」

「材料と道具があるなら
修理しますけど…
ぼくも前から
気になってたんです」

「いやいや
駅長さんには
話してあるから
近々来てくれるやろ。
ありがとね」

このあたりの人たちは
みんな距離が近い。

自転車に乗った
知らない高校生が
すれ違いざまに
「お早うございます!」と
挨拶をしてくれたり、

数日前には
住宅街を歩いていた時
虫採り網を抱えた
小学校2〜3年生の
男の子が
「こんにちは」と
円らな瞳で見上げながら
近寄ってきた。
こちらも
慌てて挨拶を返した。

視力に自信がなくなって
効率的で便利な車から
手間暇のかかる電車や
自転車、あるいは徒歩に
移動手段を切り換えたら
今まで見えなかったものが
見えてきた気がする。

ゆったり温かい
この田舎町にぼくは
愛着を感じ始めている。

2010/09/16 (Thu)
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