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アルの部屋


[153] フレンド・シッパー
詩人:アル [投票][得票][編集]


きみが浮かぶために
ぼくが一人沈む事はない
そうなったら
きみにぼくの亡霊を
背負わせる事になるから

ふたりが一緒に
水底で横たわる事はない
そうなったら
ぼくはきみを結局は
掬えなかった事になるから

それぞれが共に
水面で浮かぶしかないんだ
非力なこの腕でも
一度握ったその手を
今さら離せるはずもない

きみのために
ぼくを終わらせる
わけにはいかない
そしたらきみを
守れないから
無様に生き延びて
しがみ付くんだ
このささやかな命に

2010/08/02 (Mon)

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