詩人:おるふぇ | [投票][編集] |
小さな花を見つけたら
それは僕だと思うんだ
たとえば
街路樹の根元とか
たとえば
噴水公園の隅っことか
そういうところに
咲いているその花は
精一杯に生きている
この星にもしも
奇跡のようなことが
起こるとするならば
君が僕を
見つけてくれること
風にさえ
消えてしまいそうな
僕の小さな唄を
聴き取ってくれて
近づいて
名前を呼んでくれること
きっと
いつか出逢ったんだ
そして
またここで出逢えたんだ
そのことを
知ってか知らずか
君と僕は
嬉しくなるんだ
辛いことを
少しだけ忘れて
悲しいことを
優しく溶かして
再会という名の奇跡を
微笑みで祝福するよ
何もないけれど
それが世界のすべて
君の中で僕は
いつまででも咲いていよう
辛いことや
悲しいことがあったら
思い出して欲しい
ほんのちょっとだけど
力になれますように
道は続いていく
命は続いていく
さよならは言わないよ
またここで逢いましょう
またここで待っているね
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夜は暗い
それは涙を隠すため
神様が悲しみのために用意した
優しいカーテン
明るい夜じゃ
泣けないでしょう
そうして悲しみは
闇を利用して
世界に落ちる涙になる
赤いレンガ道
誰かのマフラーが
風に飛ばされている
サックスブルーのマフラー
もう踊らないでくれ
悲しみと
月明かりのコントラストが
こんなに美しいの夜に
もう踊らないでくれ
絶対に
内緒と言った
心の奥の悲しみが
宇宙だけに包まれて
ココニイルと溢れていく
戦争と犯罪しかない世界の
神様を撃つために
重たいマシンガンを背中に背負って
男は荒野を歩く
世界の果てまで行けば
心の奥とつながるから
神様と契約を交わした命を持って
眠れない夜の窓硝子に
マシンガンで愛と撃つ
涙と月の輝きが
愛の破片に反射する
この世界には誰もいない
誰もいないけど悲しいの
誰もいないから悲しいの
後ろで笑う神様が
優しいカーテンの中
泣いてもいいよと
誰もをなくした
濡れたサックスブルーの夜
マフラー一枚どこまでも
落ちた飛沫が赤いレンガの上で
さまよいながら
寝不足気味な悲しみのやり場として
歌うでしょう
マシンガンで愛と撃ち
マシンガンで愛と撃てども
戦争も犯罪も減らないなら
今宵も誰かが泣くのなら
サックスブルーの夜の歌
世界の果てでつながった
心の奥で愛灯す
戦争に行った
男のために流した
女の涙が
いつしか夜のカーテンの向こう
傷ついた心を溶かすように
詩人:おるふぇ | [投票][編集] |
「あー、もしもし、きょうこ。うん、明日、明日な。わかったよ、時間通りに行くから
「あー、もしもし、きょうこ。いや、ちょっと寝坊しちゃってさ。悪りい悪りい。もうすぐで出るからさ。もうすぐで
「あー、もしもし、きょうこ。今日やっぱやめにしない?体調よくねえんだ。昨夜はコタツじゃなくて、布団で寝たんだけど
「あー、もしもし、きょうこ。なんだよ。そんな声して。ずいぶんテンション低いね。暇だったから、かけたんだけど
「あー、もしもし、きょうこ。え?もう一回言ってみろよ。よく聞こえなかった。どういう意味だよ、その別れたいって
「あー、もしもし、きょうこ。わかったよ、もうドタキャンしねえから、な。またやり直そうぜ、いいだろ
「あー、もしもし、きょうこ。おい、泣くなよ。泣くなって。どうしたらいいんだよ、おい。ごめん
「あー、もしもし、きょうこ。また映画でもどうだ。見たかったって言ってたやつだぞ。いい加減にしろだって?もう、浮気はしないよ、絶対
「あー、もしもし、きょうこ。あー、もしもし、きょうこ。あー、もしもし、あー、あ…
「あー、もしもし、やすこ。あいつと別れたからさ、これから映画でもどう?
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永遠の道化師
神の歯車の上で踊る
滑稽な笑いを売って
その裏の涙が
窮屈な心の縫い目に
染み渡って
きつく解けなくなる
誰が犯した罪か
虚しさに浮かぶ漆黒の月
夢見の丘で貴女と出逢い
償えぬ旅路を伴走しては
互いの傷をただ濡らす
選んだ仕草は
眠れぬ吐息の淡き温度
触れ合えば微かに
すれ違う波長が
揺れて震えて
また求む
声のない空間に
まどろみ深く
存在の確かさに
五感の微細なる反応は
愛しさを更に色濃くする
冷たくなった指の節
伸ばす動作は静かに遅く
時はまるで
止まったかのように
魔法にかかったのように
貴女までの距離が
世界の涯てまであるかのように
そんな幻の錯覚が
何もない夜の永遠に佇む
言葉は出さなくてもいい
確証など不要だ
道化師に見えるかい
貴女にもこの笑いが
掴んでくれ
思い切り
離れないように
消してはならない光と影
たった一度
夜を過ごしたこと
その時の表情
それ以上は
求めてはならない
ごめんなさい
許して下さい
全ての罪悪の浄め
たった一度の
夜のことでした
詩人:おるふぇ | [投票][編集] |
いつももう書けなくなるんじゃないかという
ある種の強迫観念が脳の底には
いつもこびりついていた
書くことは悦楽であり
書くことは苦悩であった
その時の心情が
色彩という魔術の中に溶け入り
鮮やかな広がりを見せながら
言葉の羅列は
歌い踊ることを許される
いつもこれが最後だと思い
いつもこれが最高傑作だと思い
一つの作品
その世界が全てだった
気づくこともあるだろう
詩なんかなくったって
生きていくことができるって
でもわたしはあなたに
助けられたんだ
救われたんだ
迷える一つの魂が
地上で燻り
抗い続けた運命
特殊なのか
変奇なのか
どこか違和感を抱え
それでも生き長らえることができたのは
詩、
詩があったからなんだ
時に恋の甘みと高揚
時に生の苦悩と絶望
そして愛と希望
その色彩が奏でるフレーズに
わたしよりもわたしを理解し
いつも傍に寄り添うようにいてくれる
そのことが嬉しかった
つまらなかった
くだらなかった
生きる価値が
わからなかった
そんなわたしにも
あなたは優しかった
また書けたね
また会えたね
まだ生きていける
共に前に歩こう
力の詩
生きていく力の詩
この鼓動が聴こえるかい
優しくて
優しくて
温かで
温かで
安心して
涙が流れる
それから
笑える
いつもこれが最後だと思う
いつもこれが最高傑作だと思う
バカヤローの詩
生きていく力の詩
詩人:おるふぇ | [投票][編集] |
涙で濡れた道の果て
輝く光の灯り日一つ
夕闇をまっすぐに
そこで迷わずいけたら
にっこり僕に笑って見せて
あなたが隣にいたから
ここまでやってこれたよ
素晴らしいことが
たくさんあるんだ
その一つがあなた
木漏れ日に眠りに就いて
やがて月にこんばんは
星々の瞬きがお喋りに聞こえたよ
そろそろ我が家も
煙突から煙がもくもくと
あなたが待ってくれている
素晴らしいことが
たくさんあるんだ
その一つが愛
何も見えない闇の奥
何もないのかもしれないと
震える手をそっと伸ばしたよ
そこで触れたもの
胸にじんわり広がった
今日は人に優しくしよう
そんなふうに思えたんだ
素晴らしいことが
たくさんあるんだ
その一つが希望
まだわからなくて
色んな情報や価値観の中
確かなものを手にしたいと
もがいて探し回ったけど
もうやめにすることにするよ
がんばらなくていいや
自分のペースでいいや
素晴らしいことが
たくさんあるんだ
その一つが今ここ
あなたが笑えば僕も笑う
とても単純なんだね
それでいいんだね
風に揺れる花に
蝶が止まって羽ばたいた
空に吸い込まれるように
僕らの心にいつも羽
ねえ飛ぼうよ
素晴らしいことが
たくさんあるんだ
その一つが自由
呆れるくらいの幸せ
それはずっと続くの
想像上の理想じゃなくて
生まれたその時から
何の制約もなかったよ
水辺に映る雲が
波紋によって形を変えた
愛に溢れる詩一つ
どんな形や色にも宿る
素晴らしいことが
たくさんあるんだ
覗き込んだ胸の中
ややこしいこと
複雑なことから
もう一度立ち返ろう
素晴らしいことが
たくさんあるんだ
知ってるよ
その一つが命
詩人:おるふぇ | [投票][編集] |
少し高い丘に登り
大きな川の上から
遠くまで眺めよう
きっと広い海まで
繋がっていること
確かな希望になり
僕らは僕ら互いに
受け止め受け入れ
やがて大きな一つ
宇宙宇宙宇宙宇宙
宇宙という海に
ぽつんと浮かぶ島みたいな
青い星のお話です
何億という歴史の系譜
そこには
じいちゃんがいて
ばあちゃんがいて
父さんがいて
母さんがいて
僕がいた
何回か言った
「あいしてる」
何回も言った
「ありがとう」
さて今日も仕事や学校に
繰り出して精を出し
日常から成る人生
すったもんだの挙げ句
笑ったり泣いたり
それが人生なんだ
わかりきったように
割り切って過ごしてる
もう一度言うよ
「あいしてる」
また繰り返して
「ありがとう」
記憶という記憶はみんな
もう取り出せない引き出しの奥に
しまったつもりだった
消えてしまえと念ずるように
でもそうか
あなたの声は
うんそうだ
あなたの心は
いつもいつも胸の奥
忘れても忘れきれない夢の奥
神様
何度か呟いたっけ
真夜中
あの日は
どうかしていたんだ
神様
あれから
ずっと考えている
魂
見えない
触れられない
魂
嬉しいことも
悲しいことも
宇宙
言わんとすることの
言い切れないもどかしさ
それでもなぜか
伝わることの嬉しさ
僕がいること
父さん母さんがいたこと
じいちゃんばあちゃんもいたこと
感じたこと
魂があったこと
現実を変えたこと
未来を創ったこと
親愛なる…
聞こえるだろう
伝わるだろう
そして言うから
「あいしてる」
もっと言うから
「ありがとう」
親愛なる…
あなたが
忘れようとして
忘れられずいること
あなたという宇宙
それすなわち僕
自愛
そして
慈愛
詩人:おるふぇ | [投票][編集] |
誰も見ることがない景色をただ
心臓の奥に抱えたままで
死ぬことを
許して、マザー
生きることを知らないまま
涙を渡って著作権のない書物の上を
どこまでも走ればいい
これは死なんだと
諭されて気づいた時は
もう遅いのでしょう
マザー、マザー
どうして産んだんだよう、と
背中を叩いて
傷ついて傷つけてきた
言葉が突き刺さる
この心臓は
暗闇でも鳴るんだと
誇らしくピエロが
淋しそうに、悲しそうに
話し掛けるんだ
夢の中
生命
(家族という川を流れてきた歴史)
生命
(幸不幸の物差しが魂の純化を妨げる)
すべてを
壊したくなる瞬間の衝動
うん、
よくわかるよ
うまく、
飲み込めないんだ
けれど、
掴めばいい
差し延べられた
手
それは、
幻とは違う
愛、光、叡知
血液が全身に運ばれる
マザー
元気に生きていきます
それでいいでしょう?
愛してると
何度も言うあなたよ
こんな僕のことですら
なぜに優しく
包むのですか
あなたに包まれ
聴いた美しい音が
静寂の部屋で
何度も
僕を許してくれた
どんなありがたい話よりも
何倍もの説得力を持って
マザー
この年になって
泣けるのは
あなたの前だけです
すべてを懐かしく
許してくれた心の音
詩人:おるふぇ | [投票][編集] |
聞こえますか?
聞こえますか?
あなたには…
さざめく波のように繊細な
そよぐ風のように微かな
その声
あなたには…
聞こえますか?
叫ぶこともできずに
ずっと堪えていたんだ
忘れたふりをして
深い闇の奥底に
置き去りにしたんだ
全部が全部を
なかったことにして
わたしであることの
わたしの痛みを
優しいふりなら
いらなかったよ
ただ徒らに
弄ぶだけ
わたしの声
わたしの声は
そんなところには
なかった
日の光射す窓辺に
横たわって
ずっと
眼を閉じていた
聞こえないふりして
隠していた傷の正体
いつからか?
どこからか?
なぜなのか?
そうやって
ひとつひとつ
そっと
ゆっくりと
紐解くように
包むような
仕草で
ずっと
待っていた
わたしは
わたしを
こんなところに
いたんだね
今まで
ごめんね
泣くに泣けず
身を震わせ
硬く護って
愛してやれず
ごめんね
ありがとう
初めて見せてくれたね
そんなに安らかな表情
また出逢えたね
一緒にいようね
わたしはわたしを
癒してあげたい
それは愛として
時空のない魂の記憶
生まれる前から
待っていた
わたしの
笑顔と等しく
流れる
浄化としての涙が
綺麗に鮮やかに
きらめく今
詩人:おるふぇ | [投票][編集] |
呼吸の仕方
を忘れた頃に
また出逢えるだろう
疚しい考えなど
ない
ほら
未来は
お前のもの
古い形を脱ぎ去り
また
新しい森羅万象を
生成する
昔
絵を描いた
デッサンの山
物置の奥に
埃に塗れ
追いやられ
あの青春の
日々に描いた光
それは今
どこを
輝かせているのか
祭囃しのような
時代は過ぎて
現代の意識は
象徴のない
模索の最中
憧れよ
涙を超えて
嵐を過ぎて
再び
燦然と輝け
夢に及ばず
勇み足で
よろめいて
果てしないロード
糞っ垂れと
叫びながら
愛を汚し
狂気の酒に
遊び耽り
人の哀しみ
人の世の唄
我が胸で
熔けよ
悪魔のような
残忍な永い唄
その次元をも
我等は
超える術を
携えて
切り裂いて
まどろみの境界を
この手足は
確かな光への
変容へと
促すであろう
若人よ
恐れを知らぬ
勇者達よ
この
果てしないロード
駆け抜けよ
感じよ
伝う熱の
命の確かさ
尊き重み
この手で描いた
光の設計図
それを
我は
夢と呼ぼう
色褪せぬように
色褪せぬように
また出逢える迄
また出逢える迄
その時は
新しい呼吸が
ゆっくりと
膨らませていく
御胸の中心に
誇れる設計図