詩人:浅羽 | [投票][得票][編集] |
発光ダイオードを
握り潰して
荒々しくベンチから
立ち上がる
履き馴れた靴を
脱ぎ捨てて
歩いて行けると
思えたんだ
過ぎ行く時間や
行き交う人々の
織り成す景色と
吹き抜ける風が
見え透いた嘘を
掻き消すのさ
鏡に映った
自分の姿を
見えない誰かと
重ね合わせて
自嘲の歌を
口ずさみ僕は
壊れた時計を
投げ捨てて
一人きりで電車へと
乗り込んだ
大切な帽子を
忘れたまま
このまま行けると
信じたかった
流れる季節や
輝く星達と
消え行く命と
震える無意識が
鋏の様に
僕を引き裂く
水面に映った
自分の姿を
醜い魔物と
重ね合わせて
小さな石を
投げ込んで
僕は
必死に伸ばしたこの手
が掴んだのは幻
笑い合えたあの日を
怒り狂って壊して
戻る事無い心が
欲しがっている言の葉
伝えはしない後悔
蝕みながら笑うの
鏡に映った
自分の姿を
見えない誰かと
重ね合わせて
自嘲の歌を
口ずさみ僕は
水面に映った
自分の姿を
醜い魔物と
重ね合わせて
小さな石を
投げ込んで
僕は