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良い席の部屋


[100] くれないの花
詩人:良い席 [投票][編集]

僕たちが笑っているときに花も笑っているようだった。
戦争で兵隊が沢山死んでるとき、太陽はいつものように回っていた。
多くの人たちが死に、人々は悲しみにくれていても大空を流れる雲は凛としている。
この上ない絶望を感じ、死を選らんだ人々の足元に不変的な綺麗な花が生命の火を燃している。
とある人が狂喜していても、夕日に照る丘の上の木は涼しい風に揺られて木の葉を散らしている。
この世の終わりだと嘆き、世界が虚無的で陰鬱なものにしか見えなくなってしまった人の裏側で、夢と希望とを撒き散らすものがある。
見えない世界での、よくある、普通のこと。
死屍累々が、絶望が、悲哀に満ちた人生が、お金と無為な自然と隔離された小さな世界で、日々闘争を続けている。
哀れなるかな。哀れなるかな。
草木は青々とし、浅黄色の若葉もウキウキして小川のせせらぎを眺めています。

2009/05/03 (Sun)

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