ホーム > 詩人の部屋 > 良い席の部屋 > ほら

良い席の部屋


[29] ほら
詩人:良い席 [投票][編集]

何にも無いグレーな空間が在る。
そこに先ず俺が居る。
すると俺と面と向かって親が二人立っている。
表情が無く、いや顔面が無い。
輪郭は有るがパーツが無い。
すっと左の男が出を差し伸べた。
右手が俺の眼前へ迫るとふっと消えた。
残った一人は微動だにせず顔面の無い輪郭が此方を見ている様だ。
するとそれもまたふっと消えた。
そこには最早何も無く、延々とグレーな空間が妨げるものも無く只、そこに在るという虚構の実感が確かに有った。

2008/09/04 (Thu)

前頁] [良い席の部屋] [次頁

- 詩人の部屋 -