縦に割れた赤くて大きい水晶。呻き声を上げ続けながら蹈鞴を踏む真っ黒な人の形の何か。割れ目の周りには目に見えない色々な色の付いた不透明で蛍の様な光の群れが霧の様にぼんやり存在する。そこで考える事は誘惑。パッっと一瞬にしてその光景が消え去って普通の青い空が現れた。普通の鳥に、普通の飛行機が飛んでいる。目線を下に下ろすと普通で当たり前の日常が定刻通りに進んでいく。
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