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soRaの部屋  〜 投稿順表示 〜


[21] 回帰
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冬の終わりを告げる雨も上がり
冷たい空気を暖かく塗りかえていく

大地に染み込むことの出来ない水溜りが
いくらか強さを増した太陽の光をのみこんで
空へと帰っていく

幾つもの出会いと別れを演出しようと
桃色の花たちはその準備に余念がない

ほらごらんよ
こうして季節は移ろっていくから
毎日が同じことの繰り返しなんて思わずに
ほんの少しだけ視点を変えてみるのも
いいかもしれないよ

その昔誰もが肌に感じたようにね

2003/03/29 (Sat)

[22] 無機質
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早朝の駅のホーム
始発の電車はいつも寂しい

潰れかけた喉の痛みに耐えながら
今にも倒れそうな体をギターで支えた

動き出そうとする今日の始まりに
仕方なく付き合っていると
昨日の闇の中に取り残されている自分に気づく

何度も君の名が頭をよぎって行くけど
君の顔が思い出せないんだ
君の声も・・・
いったい君は誰だ
本当に僕のことを知っているのかい
本当の僕を・・・

もう少しまっていてくれないか
もう少しでそこに行くから
そしたらまたいつものように愛し合おうよ

愛してるはずだからさ
そうだよね
君だってきっと・・・


2003/04/07 (Mon)

[23] ふたりで・・・
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君が生まれた街

夜行バスから降りると
そこには知らない海が広がっていた
君は眠たげに目をこすりながら
小さなため息をひとつ吐いて
その海を眺めて微笑んだ

明け方の海岸をふたり手をつないで
ゆっくりと歩いた
静かに押し寄せる白波に君は
僕の知らない思い出の欠片を見ているようだった

僕は君の肩を抱き寄せて
まだ冷たい潮風に紅く染められた頬に
そっと口づけた

ときに僕は君を見失いそうになる
でも気が付くと君はいつもそばにいて
優しく微笑んでいる
君の温かな心を育んでくれた
この大きな海を見ていて気が付いたのは
君を見失っていたのではなくて
君の大きな心の中で
ちっぽっけな僕自身を見失っていたのだと

後付けされたありきたりな理屈など要らない
なまぬるい愛の言葉も聞きたくない
君とこうして此処にいる理由など有りはしないけど
そんな物こそ必要ない

ただ君を愛しているだけだから

僕が知らなかった海
ふたりの海をいつまでも歩いた

2003/04/19 (Sat)

[24] 時代
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激動の時代
昭和初期を生き抜いた偉い人の本を読んだ

幾つもの罪と悪で現代を作り上げた人だ
矛盾のかたまりのような生きざまに
本当の人間らしさを感じた

戦後の日本を支えてきた者の正体が何となく透けて見えるこの頃に
二十歳そこそこの僕に示す事の出来る物など有るのだろうか
あなたが立ち上がった歳まであと五年
僕は僕の生きざまの中でそれをそれを見つける事が出来るのか

あなたが残した功績を讃える時代では決してないけど
志は認めざるを得ないものだとそう感じた

吐き気がするほど狂気なこの本をもう一度読み返した

2003/04/23 (Wed)

[25] 慈悲
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悪意なき罪を犯し
善意なき正義に裁かれるべく
僕はお行儀良くその時を待っていた

だけど
何かを悟ったとでも言わんばかりの言葉を
素直に受け入れることは出来なかった

いったい何が分かると言うのだ
どうして答えが出せるのだろうか

すべての物事に理由付けするのは
いたって簡単なことだと
でもそれは理屈めいた言い訳に過ぎない

すべての矛盾
すべての出来事
人の心
ここに生まれてきた理由
そんな物の答えが見つかるとき
少なくとも僕の場合死を意味するだろう

裁きを受けるのもそれと同じ
むしろその後なのではないだろうか

どんなに尊い言葉でも
時にはぶあつい聖書のように
時には薄っぺらな写真週刊誌のように
人の心の居場所によって変わって行ってしまう

突きつけられた言葉の痛みが
その真意すら見えなくさせている事も
あるいは
人の心にうまく入り込み
操ることが出来たしても
それは範例にも満たない
凡例にすぎない

それでも必死になって答えを見付けようと
もがき苦しんでいるのは
決して死を求めている訳ではない
たどり着いた先の結果すら
受け入れる事が出来るかどうか
分からないから

さあ
裁いてくれ
取るに足らない半端な心を

受け止めて見せるよ

例えこの心が滅びようとも

2003/04/28 (Mon)

[26] 祈り
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あなたの心の痛みも
頬を伝う涙の訳も
僕にはどうする事も出来ないよ

泣き疲れて眠りに就くのを傍で見守ってあげる事すら出来ないんだ

だってね
僕の心はあの日あなたの心と重なった時よりずっと歪んでしまったし
汚れてしまったんだ

僕に出来る事といったら
わずかな光でも
例えば
路上に落ちてるガラスの破片に
優しく反射する太陽の光ですら
あなたの心を照らし出し暖めてくれるように
そんな小さな祈りを捧げる事が精一杯なんだ

あなたならきっと大丈夫だよ
誰にも負けない強くて綺麗な心を持ってるからさ

2003/05/02 (Fri)

[27] 征服
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らしくないよとあなたは言った

あなたが作ったルールの中から
どうやら僕ははみ出してしまったようだ

たとえ
黄色いテープに囲まれた立ち入り禁止の場所だって
そこに答えがあるのなら
確かめてみたくなるのは必然で
それが間違いであったとしても
何もしないよりはよっぽど生きてる意味があるってもんだよ

別に考えることなく一生を終えることだって出来る
考えることの無い人は一生考えないことでも
考えてしまう人だっているってことだよ
あなたのルールの中にはそれがないのでしょ

平凡な日常を否定はしないよ
あなたをここへ連れてこようとも思ってないんだ
それでもね
いつもあなたの話を聞いてあげられるんだよ

何が知りたいの

こんなに僕が矛盾してるのはね
あなたの話を真剣に聞いているからなんだ
わかるかい
違った意見を聞くことが
どれほどの意味を持つか
否定ばかりしてるあなたには分からないかもしれないけど
受け入れることだって大切なんだよ

くだらないだろ

だからね
あなたのルールの中には収まりきらないんだ
僕のらしさなんてあなたにはきっとわからないよ


2003/05/10 (Sat)

[28] 移り気
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僕が君の事を好きになって

もうこんなに時間が経っているよ

その間にね

気持ちが変わってしまわないように

好きって言う気持ちが無くなってしまわないように

少しずつ君を好きで居たんだ

だからね

思ったより好きって言う気持ちが余っててね

君に会いに行く途中の電車の中で

隣に座っていた女の子に少しばかり分けてあげたんだ

ただそれだけの事なんだけどね

そこで僕が失敗したのは

君への好きって言う気持ちも一緒にあげてしまった事なんだ

だから怒ったりしないでね

あの子のことも許してあげてね

2003/05/18 (Sun)

[29] 恵まれた美しき人へ
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繰り返される事の無い夜の街のノイズは
いつも新しいから飽きることが無い

ほら今夜も誰かの悲鳴が聞こえているよ

そんな時降りしきる光の中で誰もが脅えるんだ

そう
でもそれはその悲鳴にではなく
この街の無情さに恐怖しているんだね

僕はと言ったら相変わらずで
ゼブラの路上の真ん中で
それぞれの身勝手な思いをいちいち考えてみたり
すれ違う人ごみの
そのひとりひとりの顔を出来るだけ覚えてみたりと
意味も無く忙しい時間を過ごしている

それが結構大変でね
だってね
信号が赤に変わると
走って戻らなきゃいけないからね
誰にもぶつからないように
地下鉄の入り口の所まで戻ってくるんだよ
運よく無事にたどり着けても
地下鉄から出てくる人とぶつかっちまうから
最後まで気が抜けないんだ

これでもいろいろ考えてるんだからさ
馬鹿呼ばわりするのはよしてよね

さあそろそろ君に逢いに行こうかな

また今日も空に少し近づいた
高層ビルの工事現場を見上げながら

公園通りの教会で祈りを捧げたそのあとで

2003/05/22 (Thu)

[30] 欲望
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夢の詰まった宝箱には四つの暗号がかけられていた

一つ目は案外簡単ですぐに解かった

二つ目を解読したとき僕の周りに知らない人たちが集まり始めた

三つ目はその人たちが話し合って答えを見付けてしまった

四つ目はどうしても解からない

僕は全てを我慢して夜も眠らずに必死に答えを探した

誰かが耳元でささやいた

解からないならその鍵を壊してしまえと




違うんだ

何かが違うんだ

僕がしたいのは暗号を解く事なんかじゃない

言いたい事もいえない

やりたい事も出来ない

全て押さえ込まれてしまう

僕はいつのまにかあの人たちの宝箱を開けるための

ただの道具にされていた

僕の夢はこんな箱には入らないものだったはずだ

おかしくなりそうだ

欲望がいつも僕の邪魔をする

2003/06/03 (Tue)
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