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[1441] ふたりで・・・

詩人:soRa

君が生まれた街

夜行バスから降りると
そこには知らない海が広がっていた
君は眠たげに目をこすりながら
小さなため息をひとつ吐いて
その海を眺めて微笑んだ

明け方の海岸をふたり手をつないで
ゆっくりと歩いた
静かに押し寄せる白波に君は
僕の知らない思い出の欠片を見ているようだった

僕は君の肩を抱き寄せて
まだ冷たい潮風に紅く染められた頬に
そっと口づけた

ときに僕は君を見失いそうになる
でも気が付くと君はいつもそばにいて
優しく微笑んでいる
君の温かな心を育んでくれた
この大きな海を見ていて気が付いたのは
君を見失っていたのではなくて
君の大きな心の中で
ちっぽっけな僕自身を見失っていたのだと

後付けされたありきたりな理屈など要らない
なまぬるい愛の言葉も聞きたくない
君とこうして此処にいる理由など有りはしないけど
そんな物こそ必要ない

ただ君を愛しているだけだから

僕が知らなかった海
ふたりの海をいつまでも歩いた

2003/04/19 (Sat)
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