詩人:soRa | [投票][編集] |
夜明けの風はもう冷たくて
僕の心は一層空虚さを増した
僕はいくつかの矛盾を引き連れて
冷たい風の中にいる
君への笑顔も本当は特別なものでもなくて
いつだってそうしていられるんだ
それだってたいしたことでもないよ
心からの笑顔を君に送っているんだからね
簡単なんだ
君が寂しいのは
僕を知ることが出来ないから
きっと分からないんだよね
僕だって分からないのだから
この冷たい風の中で
一緒に震えていても
君は気付いてないんだね
僕が寒さに震えてるんじゃないって事に
それでもいつも一緒だから
僕の中の矛盾もきっといい加減なものになって
何もかもどうでもよくて
君の事を好きだなんて言ってしまうんだね
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僕は壁に挟まれて
だんだんと小さくなった
この壁は薄っぺらだけど
きっと君にさえ僕が見えなくなるだろう
僕はずっと待っていたんだ
疲れていたから
眠ってしまったこともあったけど
それでもほんの一瞬だったんだ
誰かが吐き捨てた煙草の煙がけむたかったし
夜だというのにいっこうに光が降り止まなかったからね
とうとう身動きも出来なくなって
僕はまた小さくなった
この壁は何で出来ているのかな
誰かが壁の向こうで押さえつけているのかな
寂しいね
寂しいよね
弱いものはいつまでたっても
弱いままで
少しでも前に出ると
こうして閉じ込められてしまうんだ
でもね教えてあげるよ
四方を囲まれたって
足許を掘ることっだって
頭上をよじ登ることだって
きっと
きっと出来るんだよ
少し疲れているから
今すぐには出来ないけどね
もしも聞こえているんだったら
答えてくれないかな
弱きものを閉じ込めたりして
それで満足ですか
そのためにこの世に生まれてきたのですか
どうか
どうかお願いです
教えてください
貴方の命はどこから授かったのですか
もしも僕と同じ道を辿って
この世に生を受けたのならば
僕は全てを諦める事だって
構わないから
僕はずっと待っていたんだ
貴方が答えてくれるのを
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いったい僕は何を期待し何を待っているのだろう
意味もなく背の高いこの街に生まれて
この街を通り抜けて行く人たちを見てると
時々たまらなく悲しくなる時がある
どこからかやって来た人たちは
たくさんの荷物を背負って
僕なんかよりずっと大きな夢を抱えて
とても大きく見えていたんだ
輝いていたしね
君と出会ったのは夜のネオンの中だった
精一杯背伸びをして
この街に呑み込まれないように必死だった
僕に夢を語ってくれた
他の人と同じように目を輝かせてね
決して楽しい事ばかりじゃないんだよって
そう言いながらも笑顔を絶やさなかった
彼女が大事にしていたギターとハーモニカが
僕の部屋の前に置いてあったのは最近の事だった
彼女が書いた寂しい詩と一緒に
ここを通り抜けて行く人たちを見ていると
たまらなく悲しくなるんだ
少し軽くなった荷物を背負って
出口を探してる人たちを見ているとね
僕はいったい何を求めているんだろう
誰かが残していったもの達が
重たく僕に圧し掛かっていく
悲しくて
悲しくて
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明日の空の青さをいつも願っていた
つま先に力を入れていつも前のめりでいた
そんなんじゃとても空なんて見えないのに
それでも空の青さを願っていた
僕を寂しくさせるのは
部屋の明かりを消すことでも
降り止まない朝方の雨でも
今にも切れてしまいそうな
街路灯の明かりでもないんだ
見上げる事の出来ない僕の心の空
ただそれが寂しいだけ
澄んだ青き空は
きっと広き海との境をなくし
全ての者に力を与えてくれることだろう
こんな窮屈な暮らしと
逃げ出してしまいたい程の現実を抱えて
いつのまにか諦めかけていた物の多さに気付いた時
あの日大きな人の胸の中で見た空の青さが
僕の頭をよぎって行った
明日の空の青さを今日も願う
少しだけ上を向いて
それでも精一杯だけど
ほんの少し上を見て
僕の心の空の青さを今日も願う
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高層ビルの隙間で
孤独の寂しさと
人恋しさの果てに出会った二人
欲望に逆らうことなく
悲しく体を重ねた
言葉さえ交わすことなく
時間は柔らかくすぎて行き
互いの名前すら知らないまま
向かえた二日目の朝
彼女は温かいコーヒーを入れた
砂糖の数を尋ね
言われた通りに綺麗な星の形をした
角砂糖をひとつ沈めた
それはとても優しく溶けて行き
二人の時間を静かに止めた
ほんの一瞬だけの愛の交わりだった
二人はまたビルの隙間にそれぞれ消えて行き
寂しさを募らせて行った
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僕がここまで生きてきたのは
こんな僕でも幾つかのプロセスを経て
幾つもの靴をすり減らして来たんだ
君の軽薄な僕への批判は
何度も僕を殺して
そして何度も救われた
教えてくれないか
僕の中のどんな無力さを
君があからさまにしているのか
目にしたものさえも否定するのは
いったい何故なんだ
過去を思い起こさせておいて
それを順番に破壊して
立ち上がることすらさせないで
何処からか綺麗な水を汲んできてくれる
僕は君の事を知らない
そんなの不公平じゃないか
君の行動もまったく理解できないし
予測もつかない
もうふらふらだよ
消し去った過去の代わりに
君がそこに入り込もうとでもしているのかい
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雨の夜
雨音が闇の中の孤独な僕を優しく包む
悲鳴にも似た君の泣き声が耳から離れない
息苦しさに耐えながらジャンクフードを頬張って
ビタミン剤を流し込んだ
もう何度目だろうか
君からの別れ話を聞くのは
僕の心はその度にらせん階段を下りるみたいに
くるくると回りながら落ちていくんだ
すると君は決まってそんな僕を受け止めて
そうしていながらすがるように泣き付いてくる
君はいつからそうなってしまったの
この街での生き方を身に付けたのなら
もうあの頃の不器用さを見せないでおくれよ
君の涙の綺麗さが
いつも僕を惑わせるんだよ
ジャンクフードを片手に君のところへ行こう
この雨がやまないうちに
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流した涙のその訳を
君は
その大きな瞳の下にある小さなホクロの所為だと言っていた
僕の肩にちょこんと乗せた君の頭が意外に重いから
僕は少しふらついたりしたけど
涙が止まるまではこのままこうしているからね
きっと
その小さなホクロには僕の心が宿ってて
君の涙のスイッチを入れたり消したりしているんだ
それは壊れる事無くとても正確だから
すぐにでも消してあげたいんだけど
ごめんね
今日に限ってそれが見つからなくて
だからこのまま朝が来るのを待っていようかな
君を感じるのは久しぶりだからね
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退学の日
僕は放送室でブルーハーツの
”終わらない歌”を歌った
午後の授業の始まりを告げるチャイムの後だった
僕は学校が好きだった
僕にピアノを教えてくれた女教師も
家出したとき横須賀まで迎えに来てくれた
担任教師も
僕を毛嫌いしていた生物教師も
本当に好きだったんだ
スカートの丈を短くすることをしなかったあの子と
夜の渋谷で二人だけの秘密を持ったとき
少しずつ
少しずつ
何かが変わって行くのが分かったんだ
遥ざかって行く
いや
遥ざかろうとしていたんだ
あの子のスカートの丈が短くなったのは
理由なんて無い事も知っていたし
変わってしまったのは僕だけだったのも
よく知っていた
いつのまにか居場所なんてなくなっていた
僕は最後まで歌った
それからひとつ深呼吸をして
ざわめいた学校を出た
終わってしまった日に歌った
”終わらない歌”を
僕は今日も歌っている
僕は学校が好きだった
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お前は俺の足許によこたわり
赤黒い血でアスファルトを汚した
その横で泣き喚いているのは誰だ?
お前の女か?
淫女の匂いがプンプンするぜ
ここでおっぱじめてもいいんだぜ
おさまりがつかねえんだ
てめぇが俺にぶち込んだ薬のおかげで
規則正しく見事に狂っちまったんだぜ
いつまでもそんなとこに寝転んでないで
そろそろ起きてくれよ
純度60%のいかれたやつをよぉ
はやくぶち込んでくれよ
たまんねぇぜ
吐き気がするぜ
真っ暗だぜ
助けてくれよ
謝るからさ
怖いんだよ