詩人:安曇 | [投票][編集] |
夕方になる少し前のこと
私は1人で運転していた
声も出せないくらい、心は重たくて
何も考えたくないと、あてもなく走らせていた
信号で止まり、ふと目線をあげると
薄い蒼の中に、薄い月がいた
ぼやけた丸
逃げてはいけないと、わかっているけれど
私は、逃げていたのかもしれない
薄い月をみつけて
まるで今の私の心のようだと
凄く泣きたくなった。
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ウイスキーの綺麗な茶色を水で薄くしてちろちろ飲む
薄い寝息、薄暗い部屋
貴方の寝顔を観ながら、ひとりでお酒を飲む
平凡だと、あの子は笑うけど
その平凡は、私にとっては幸せで
どれだけ、普通の平凡が難しいか
幸せなのか、なんで気づかないのか
ひとりウイスキーを飲む
あんなに苦手だった、香りがたまらなく愛おしい
そんな夜
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消えそうな夜
私はひとりそこにいて
動かない顔をマスクで隠した
私がいない世界は
何も変わらず動いている
なにもかわらないけど、終わりにだけはしないと
そこにいた
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オレンジ色のお風呂に浸かり
このままお湯に溶けてしまえばいいのに
と、みつめていた
お湯に溶けたら、流れてしまうのかな
体温と、湯船の温度がほぼ同じで
オレンジ色のわたしになった
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人は慣れる。
悲しみも、幸せも
知らないうちに慣れていく
忘れたくないこと、忘れたいこと
この感情も、いつか薄れるだろう
でも、それはいつかの話
抑えられないほどの、今の私の感情
抱きしめて、お風呂に入ろう
お湯と同じ温度になるくらい
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涙が流れた
説明しにくい涙
悲しいわけでも、嬉しいわけでもない
笑顔が消えて、怒りも消えて、言葉も消えて、
ただ、からっぽになったとき
流れ出す涙
溢れるのではなく、流れる
ああ、まだ私はここにいて
生きているのだとわかる
歩き出すために必要なものなのかもしれない
生きるとは何か、
決して死にたい訳では無い
でも、時々ふいに流れる涙
生きている