詩人:blue | [投票][得票][編集] |
二人だけを包み込むこの空間
仄かにともされた明かりが、まるでベルベットの衣に包むように二人を浮かび出す
広く大きな胸の中に抱き止められ時が止まる…
力強い両腕の抱擁
静寂の中に流れる衣づれの音
指先を通じて訪れるもう一つの音
それは逢えなかった時間を取り戻すように
貴方が私を手繰り寄せる音
波のようにやって来ては引いていく
やがてその波は鈍い痛みへと…
女に還るための痛さか胸に響き渡る
そうそれは禁じられた恋だから?
燃えるような想いを抱き、お互いに満たされない部分を貪りながら蜜月の中で過ごす
二人の脈打つ鼓動がシンクロした時
声にならない嘆息と荒い息遣いが交差する
私を呑み込むような波が荒々しく柔らかな私の胸の撓みを巻き込む
荒々しい波に反して
首筋から背中へと貴方の唇が這う
私の身体に残される貴方の熱い吐息と指先の軌跡が
秘密の花園を潤す
朝露に濡れた花園に迷い込んだ獣が道を探すごとく
雄々しく花園を駆け巡る
あぁ…
全身を弓なりにするような衝撃
そして一筋の光が
脳裏に浮かぶ現実の世界を消して行く
獣を追った狩人が
弓を引いて花園に力強い足音で踏み入ってくる…
愛を刻む音の中で
その強弱に吼応するように熱い吐息と悦びの声が…
激しく刻まれる愛の音
その激しさの中で
微かに聞こえる湧水の流れ
花園を駆け巡る足音が止まる
矢が放たれる鈍い衝撃音が微かに残った脳裏の世界を完全に抹消させ空白の時が流れだす…
全身に、私の肢体の中に何度も津波のように流れ出す
空白の中にあるものは
貴方の温もり…
貴方を感じ
貴方の腕の中で得た至福の悦び
空白の時が私を女に還す