詩人:日月子 | [投票][編集] |
月が満ちてくる
それは
眩しいほどの
本当は
心など
知りたい
言葉など
欲しくない
極め事など
多分
貴方も
同じように
私の心が
わからなくて
焦れてる
この秋のどこかで
多分
貴方も
同じように
私が
自分のものに
ならなくて
眠れないでいる
恋を
している、と
きづかないでいる
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今日初めて、
一人で線香花火など してしまった。
でも心では、
彼の事を考えていた。
子供の頃にみた、美しい夢のような光を眺めながら、
ここに
彼がいればな、
と思った。
小さな光に
照らし出された
横顔は、
どんなに
美しいだろう と。
花火が終わり、
象牙色の月だけが残った。
不思議と、
淋しくはなかった。
彼の近くに、
どれだけ近くに
いけるだろう、
と思った。
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日報の日付欄
埋めて気づく
今は遠い
アノ人の
誕生日
あの日
今からだって
祝ってって
車飛ばして来て
強引なパーティ
二人だけで
不用意の
プレゼントは
シャンパン味の
キスでって
ねだられて
長い甘い
もどかしいキス
した
思い出
今独り
横になり
同じ空
違う夜を過ごす
アナタ思う
しかめた笑い顔
声のトーン
思い出す
薄い唇
さらさらの髪
腕に込めた力
溢れてく
最後の抱擁も
頬撫でた指も
ああ
ハッピーバースディ
届いてよ
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あなたのその瞳は
あの空の彼方へ…
熱い太陽と
裸足と
聞き慣れない言葉
はためかせて
今
コンパスを掴んだ
それでも
あなたは
傷つけまい
と
傷つくまい
として
私からは
光る翼を
隠そうとするの?
カバンを持って
たちなさい
君
腕に力を込め
朝日を浴び
新しいクツ履いて
うしろ姿は
もうシルエットで
二度と還らぬ旅人の
誇らしげな背中のよう
私は気取られぬ侭
祈りの花束を
そっと海に放す
さようなら
私の
貴い生き物
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強い風
目に映るのは
岬
海原に
白い波がしら
あ、秋桜
白いサンダルと
飛んでった
私の帽子
追いかけたアナタ
それとは違う海
違う季節
違う運命
天高く
水彩画の
ぼやけ雲と
冬の色少し
溶かし込んで
色づき始めた
樹々にも
私の
小さな
てのひらにも
掴き合わせた
上着にも
秋は
平等に
長すぎる
影を落とす
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冬に
閉じ込められて
想いがまだ
自由になれないでいる
素直に
泣けなくて
心がまだ
苦しんでいる
あのひとの
笑顔の記憶や
散歩道
日陰で見つけた花
あんなにも
無邪気に
幸せになれた
のに
また冬がきて
同じ道
同じ匂い
曇り空に胸が
凍えて痛む
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答えがなく
行き場がない
やりとりの
終わりに
私が選んだのは
無条件の降伏
無償の愛でした
独り善がりで
何も恐れない
あなたは
静物画を
眺めるようにして
終わりを
受け取りました
一人の
死すべき人間に
対する
ひたむきな想いが
こうも
破壊的だとは
知らなかった
この恋を知るまでは
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夜空に舞う
白い
リボンのように
あなたの元へ
想いが
闇に光って
見える程よ
夕焼けに
たなびいて
朝靄に舞って
あの
強く光るのは
誰の元へ と
人が問う
私の目には
はっきりと
映ってる
のに
目を閉じて
お祈りを
腕に絡めた
シルクのリボンを
窓を開け
風に放して
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気が付けば
運命の日は過ぎて
重い前髪払うように
今
一陣の風が吹いた
暖められた心が
髪、肩、指先で
小さな気流の渦を作る
倒れた樹にも
萌黄色の
小さな勇気
光の呼ぶ方へ
目を覚ました
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えんりょがちに
恋をしていた
あなたの
差し伸べた手は
私が迷うくらいに
距離がありました
精一杯の
光だったかも
絞り出した
言葉だったかも
たくさん
人を乗せたバスが
二人の前を
通っていたので
なんとなく
気を取られて
あなたを
つかまえ損ねたのです
今
私が伸ばした手は
払うこともされず
握られることもなく
あなたの裾を
掴みそこねた
戻っておいで
あたしの
あたしの
負け犬の手
あの人は
もう
去ったのだよ…