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♪羽音♪の部屋


[10] 禁断の果実と真っ赤なリンゴ
詩人:♪羽音♪ [投票][編集]


「良いですか?この果実は食べてはいけません。いいですね?」

貴方はいつも
甘い誘惑に満ちた
「禁断の果実」

いつも道化を演じ
人を引きつけ
涙を 優しい笑顔を
見せたと思うと
甘い囁きと吐息で
危険な領域へと誘う

だから「真面目で
いい子」な私は「禁断の果実」を初めから見ないようにした

自分を偽って
悪魔の囁きでさえも
聞かなかった
「これ以上は止めて。私を壊さないで」と
祈りながら

でも貴方は「ほら、きれいでしょ?甘くて美味しいよ?君にあげる」と私に優しく
その実を差し出した


だから「未熟で悪い子」な私は その果実を 口にした

それは甘くてほろ苦く私の全てを痺れさせた
ぼーっとしながら
悪魔の甘い笑い声を 聞いていた

「いいですか?あのリンゴは食べてはいけません!いいですね?」

私はいつも
人を狂わす
「真っ赤なリンゴ」

優しく尽くし
貴方を愛しく見つめ
時折ふと現れる私の
本当の姿 私も貴方にとって毒になる日が
来るなんて思いもしなかった

けれど「真面目で優しい」貴方はいつも
気づかぬ振りをして
私に尽くしてくれた

本当は信じてくれていたんだね 有り難う

けど私は「みてみて!赤くて綺麗。きっと甘くて美味しいよ。貴方にあげる」とキャッキャと子供のように差し出した

「寂しがり屋でイジワル」な貴方は
そのリンゴを一口かじった


甘酸っぱくほろ苦い
まるで血の味がした

泣き崩れた貴方の耳元で「食べてはダメ」と叫ぶ私の本当の声がした

「禁断の果実」と
「真っ赤なリンゴ」

甘くてほろ苦くて
癖になる

その甘さとは裏腹に どちらも狂気に満ちていた

でも私は「禁断の果実」を口にしたことを
後悔はしていない


やっと本当に出会えた貴方に出会えたから…

2015/11/14 (Sat)

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