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♪羽音♪の部屋


[145] 卑怯者
詩人:♪羽音♪ [投票][編集]


どんなに欲しても
どんなに叫んでも
どんなに必要でも
どんなに求めても


叶わないことが
この世の中にはある


だからこそ後悔なんてしたくなかった


何もしなかったことの後悔より
何かしてしまったことの後悔の方が
遙かに多かった気がするよ


もっと早く貴方の存在に気付いていれば…
貴方の言葉に心の声に
耳を傾けていれば

私は憎しみと悲しみに
駆られて感情のままに
ヒドいことを書くことも無かったかもしれない

一番大好きな人を
一番大切な人を
傷つけてしまうのは
何よりも心が痛い

それなのに
衝動に駆られた心は
コントロールを失う
そのあとで深く溜息をつく

あのときの言いようのない虚しさは一体
何なのだろう…

本意ではない言葉が
悲しい響きが
口をついて溢れ出る
求めていない結果なのにどうして…

なんで酷い言葉ではなく
「好き」という大切な言葉が言えない?
何で空しい言葉ではなく
「本当は一緒に居たかった」って素直な気持ちを伝えられない?

今日、大切なあの人に貰ったモノを返した
会わずに郵便で…

口では「吹っ切りたい」「けじめを付けるため」と言いながら
自分にむりやり納得させる

「これでよかったんだ」と

…大嘘つきの卑怯者

本当は空しい女の
「未練」だろう?

いまさら
拒絶されるのが怖いのか?

「さよなら」と
ただ一言で別れを受け入れられるのが怖いのか?

「さようなら」という
言葉の刃を突きつけたあの日

私はまだ、この言葉の痛さと怖さを知らなかった

本当は彼に
「忘れ去られたくない」のが本音だろ?

「どんなに欲しても
どんなに叫んでも
どんなに必要でも
どんなに求めても

叶わないことが
この世の中にはある」と言い聞かして
やせ我慢

私は未練がましい
大嘘つきの卑怯者

2016/06/01 (Wed)

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