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あういあの部屋


[9] kilim-an-jaro
詩人:あういあ [投票][編集]

 あなたが永く使っていた
色落ちたあの椅子は
テラスに独り佇んで
今白んだ月に照らされて居る

 丸いテーブルに広がった
きれいなクロスには
温かいキリマンジャロが香り
月夜の楽しみへと誘う

わたしは此の椅子と共に
あなたの帰りを待って
一人コーヒーを飲む。
玄関のベルは鳴らない


 闇が薄らぐ頃わたしは
静かな眠りに就き
冷めたキリマンジャロを残し
晴れぬ心の闇をさまよう

わたしはあの椅子と共に
あなたの帰りを待って
一人コーヒーを淹れる。
「タダイマ」の声は聞こえない
 
空が赤くなる頃
私はまたあの椅子に座り
白いクロスを広げ
あなたの帰りを待つ
あなたの好きな
キリマンジャロを淹れて

 月は今日も陰らない
雨は今日も降らない
あなたはいまだ......

2008/06/15 (Sun)

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