詩人:藤井柚子 | [投票][得票][編集] |
わたしは
消えてしまった光をのみこんでおちてゆくので
海へとかえってしまう
小さな夢が微笑みながらわたしのほうに歩いてきて
わたしは
夢の続きへとはいっていかなくてはならない
(教室では先生が小さな精霊を撫でている
夕暮れのせいだ
夜になるのがこわいので走らなければならない
わたしは
校舎を
とおくから音がする
生きていたひとたちがそっと並び待っている
おと おと おと
窓の外は白くなって
今はふゆなんだと確認したからといって
どこからが雪でどこまでがわたしなのかは
わからない
さむい
さむいよ)耳の奥で猫の声がする
こぽこぽ溢れだした先生はもう見えなくなった
学校ってこわいな
こわい
教室のなかには水がなく 溺れている人も
いない 今は
飛び込む水もない
流れていかないでよ、先生、流れていかないで
いかないで )
あ、 ねえ、 ほら
また猫がないたでしょう
今度は少し遠いね
終わってしまうと不思議と何の違和感もなく
わたしはひとつの光のようになりたかっただけ
なんだって
知らない人には教えない
大切な秘密
教室に忘れてきてしまった光はすぐにちらばって
わたしは裂け目を探さなければならないの
遅れてきたチャイム
どこにいけばいいのかなんてわからないって
先生がわたしに内緒で教えてくれた
これはふたりだけの秘密
夢の続き
水の音 とぷん
夢の続きに
さよならしてる