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地獄椅子の部屋


[9] 嘘・黒・鼻
詩人:地獄椅子 [投票][編集]

愛と呼べる確かなものなど俺にはないから、鼻だけがやけにどんどん伸びていくばかりだ。
権力と呼べる確かなものなど俺にはないから、貴女を傷付けないと、強さが足りないように思えてくる。
愛してる、と言うほどに俺の鼻は伸びてゆく。
ブラリとダラリと、長く黒く、ピノキオのように嘘を付けば付くほど。


「好きなんだって」思い浮かんだ口笛の旋律を奏でても、届くはずない。

まだらに続く道の途中、交差することなき、運命線。

流れる鱗雲に目を奪われて、貴女を忘れそうになる。

綺麗なだけの愛の歌。優しいだけのオーロラ。温かいだけの日溜まり。
全部嫌いで虫酸が走る。

どす黒い衝動に潰される二人称ゲーム。無意識のジョークがナンセンスを演出する。勝負する為の土俵に来い。セメントに埋め立てたセルマソング、ぐちゃぐちゃに散らかったままリピートして。


俺の爛れた鼻が、嘘の臭いに過敏になる。


嗚呼、人間て奴ァみんな、気さくに偽りを許すんだ。


みんな。


みんな。


タダイキルタメダケニ。


俺の嘘・黒・鼻は許せずに。

2005/12/22 (Thu)

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