詩人:ユズル | [投票][編集] |
コーヒーに浮かんだミルクの渦が
ぐしゃりと歪んで 沈む
ゆるく 時間を閉ざす 苦笑い
時計の針のうえを ひたすら
走ってきた 一生懸命も 消えて
ちくりちくり
鳴いている
何処でしょうか
ちくりちくり
泣いている
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止めたりしない
歪めもしない
消えていくもの 静かに ただ そっと
消えていけるのなら 安心
手探り 真っ暗闇 手に入れた蝋燭
信じた世界で 交わした約束
はしごを登って 残ったのは
冷たい この両手だけ
そういうものだよ と 誰かが嗤う
笑顔を振りまくことに
なんの意味があったろう
きっと安い 優しさ だったね
傷つきたく ない
とても 怖い
止めたりしない
歪めもしない
消えていくもの 静かに ただ そっと
消えていけるのなら 安心
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ひらがなの中で どれが好き?
唐突に 投げかけられた クエスチョンに
なんて 返すのが いちばんだろうと
とろくさい頭でも 懸命にひねらす
見透かしたように ちがうよ
あなたの 感じたままが 聞きたいの
と 言う
さて ぼくが 感じたままって
どこだろう そんなこと言われても 困る
見当たらなくなってしまっている
感じたまま
「ゆ」 でも 「さ」 でもなんでも
嫌ったりしないよ と 笑う
でも 確証が得られないと これが
正解だよって だれか
だれが決めるの? あなたじゃないの?
わかってる
わかってるよ 本当は
めぐりめぐる 永遠の課題
好きな ひらがな 探すから
感じたままを 見つけるから
ちょっとだけ 待っていて
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こんばんは
自分から溢れ出た泉の真ん中で
溺れかけている 君
そんなになって 責め続けて
あんまり心によくないよ
僕にもあるけれど
どうでもよく思えても
誰かから投げつけられた 言葉が
ひんやりした瞳が 忘れられないの
みんなが 宙に 翼を広げて
自分だけ ひとりぼっち
地面を這っているように
自分をだめだと 思っているのね
黒の中に星があらわれて
シンデレラの魔法も溶けたあと
夜にしか会えないけれど
僕は 君を よく知っているよ
音になって 風になって 君を
見つめて 包んで 理解してあげる
だからそんなに もう泣かないで
もうじゅうぶん 痛かったでしょう
ずっとずっと 頑張っていたでしょう
瞳を閉じて 夢におちたら
さようなら 次は真っ白な朝だよ
またそんな夜に 会えるから
大丈夫だよ 君は 大丈夫だよ
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僕は今日も 長い道の真ん中で
優しい言葉ひとつひとつ鞄から出して
たぐりよせ 甘い蜜へと飛んでいく
弱気な僕は いつだって弱気で
君に恋したところで不毛なんだけれどな
優しいものが なにより好き なによりも
前に進むための道具 ロープだって
食糧だって ナイフなんてなおさら 持っていないさ
僕の鞄には思い出だけ 優しい日の記憶だけ
それだけをただ詰め込んできたから
だから そんなにも 弱いままなのね
だから 綺麗だけれど 深みがないのね
だから いまさらに 迷ってばかりなのね
だから おとななのに 幼いのね
冷たい水飛沫 かけてくる君は嫌いだ
怖い 声音で 僕を振り返らせる
弱い 優しい 僕になんの価値もないこと
そんなの気付きたくなかった
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雨あめ降る夜
あなたも わたしも あの人も ひとり
雫のメロディーが
穏やかにたゆたう
ひんやりした風が
身体の真ん中を吹き巡るような
想いを抱えてうずくまる人
目をそらしたくなる雨の記憶に
静かに想いを馳せる儚い人
あなたも わたしも あの人も
誰にだって水が必要なの
それでも
雲の向こうに顔を出せば
いつだって星は瞬くよ
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そのひとときは その場所だけは
わたし以外 人のいのちはなくて
晴れた日の草原 夕焼けの湖
朽ち果てた煉瓦造りの家
ただ 流れる雲を 瞳に映し
透明な水のゆらいだ音を 聴き
寝そべって 冷たさとぬるさを感じて
いちばんフラットに 何も忘れて
あなたの瞳も 耳障りな人の声も
繊細なわたしには 恐れでしかないの
街が 未来が こわいから
その日のことだけ 考えるだけ
そのひとときは その場所だけは
わたし以外 人のいのちはなくて
そうしたら わたしはきっと 安らいで
微笑んで そして どうするんだろう
詩人:ユズル | [投票][編集] |
あのひとが 私に 向ける笑顔
それはね
海に浮かぶ 岩たちを
真っ暗な影に変えてしまう
まばゆすぎる 夕陽の輝き
いつか 叶うなら
道行く木陰の 妖精にだって
微笑み 優しくしてあげたいほど
かろやかに 翔けていける
口いっぱいにほうりこんだ果実
溢れる 甘さと酸っぱさに
思わず ぎゅっと目を瞑った
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たくさんのものを持って生まれてきたんだけど
全部が全部 いいものじゃない
それも いいもの 悪いもの に分けられない
ときによってそれはいいもので
あるときはそれはとっても悪いものだ
難しい問題を 抱えこんで
夢見ることだけが たよりの君が
何気なく笑ったら ほら また世界が変わるんだ
だから しがみつくには
頼りないものだけれど
その頼りなさこそが なんだか 真理な気がしてる
まよいながら 行くしかない
間違いながら 行くしかない
いつもいつも 繰り返し しんどいのは
しんどいまま なのに きっと愛おしい
悟ったような気がしたこと
きっと明日にはおさらばだ
明日には まよいながら 行くしかない
それだけが きっと 僕を支えてる
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それは いつも
カラフルなくだものが 生クリームに包まれた
大きくて 華やかな ホールケーキの
スプーンひとすくい 苺にも届かないくらいの分しか
伝えられない もどかしいもの
それは そのくせ ほんの少しで
しんと冷えた 薄暗い トンネルを
ひとり歩く 冷たく恐ろしい足音になったり
暖房の効かない 冬の教室の 窓際で
眠りに誘う 暖かい陽射しになったり
なにより強くて きみのすべてみたいなもの
わたしたちは それを使う 生き物だから
きっと 優しい 生き物だから
もっともっと 大切にして
それを それを使う わたしたちを