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ユズルの部屋


[325] 弱い大人
詩人:ユズル [投票][得票][編集]


僕は今日も 長い道の真ん中で
優しい言葉ひとつひとつ鞄から出して
たぐりよせ 甘い蜜へと飛んでいく

弱気な僕は いつだって弱気で
君に恋したところで不毛なんだけれどな
優しいものが なにより好き なによりも

前に進むための道具 ロープだって
食糧だって ナイフなんてなおさら 持っていないさ
僕の鞄には思い出だけ 優しい日の記憶だけ
それだけをただ詰め込んできたから

だから そんなにも 弱いままなのね
だから 綺麗だけれど 深みがないのね
だから いまさらに 迷ってばかりなのね
だから おとななのに 幼いのね

冷たい水飛沫 かけてくる君は嫌いだ
怖い 声音で 僕を振り返らせる
弱い 優しい 僕になんの価値もないこと
そんなの気付きたくなかった







2015/09/17 (Thu)

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