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快感じゃがーの部屋


[170] 防波堤
詩人:快感じゃがー [投票][編集]

あなた,その包丁<ナイフ>で,
切り裂いてしまって

あたくしごと

あたくしだけ





五つの指を一本ずつ
この恋心と共に





消して,葬り去って下さゐ。





嘘を吐いた
あたくしの裏切りを

責めて下さい





打ちのめして下さい





一度隠れた闇は,
なかなか消えぬもので

光というのは,
なかなか

出くわさぬもので





あたくしは唯,
あなたを想っては

夕餉にランプの火を
燈していました





ベッドの乱れも,
素っ気無い態度も,

気に留めることなく





あなたを骨の髄まで
愛してゐたのです





けれども。





あたくしを殺めて,
土に埋めれば

あなたの気が治まるのならば





あたくしは喜んで,
その土になりませう





すべては,あたくしが悪いのです





あたくしを憎んで,
逝かせて下さい





さあ,今すぐにその包丁で
思い残すことなく,

一息に





両の肢を切り刻み
この恋心と共に





桃源郷へ連れて行ってくださゐ





そうそう

二つの眼は
潰さないでおいて下さいませ





いつ,何時でも
あなたのお傍で

悪い虫など付かぬ様

見張らなければ
ならぬのですから

2008/02/08 (Fri)

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