詩人:風凛 | [投票][編集] |
…あの、どちらさまでしょうか??
なんだって!?あなたは俺の彼女ですよ?!
すいません、…人違いでは??
え?いや、そんなバカな。…そんなぁ。
…なんてこった。
あのおばあさんの言ってた事は、まさかこの事なのか?!
…数日前。
ある質屋――おばあちゃんがたった一人で切り盛りしている古い質屋――
に、1人の若い男がやってきました。
彼は海外で料理の修行を積み、帰国したのでした。
彼はさっそく自分の店を出すため、物件を探し始めました。
店を出すことは彼の長年の夢でした。
しかし、店を出せるような建物は、なかなか見つかりません。
ようやく見つけたと思ったら、他にも買い手がついていた為に、お金を速急に準備しなくてはなりません。
そこで、彼は友人知人に頭を下げて回りました。
ですが、彼の貯金を合わせても、あと二百万円ほど足りないのです。
期限は三日後。
途方に暮れた彼は、たまたま目に付いた質屋にやってきたのです。
彼は夢を叶えるため藁にもすがる思いでした。
『…ふむ、そういうことでしたら二百万、お出ししましょうかね。』
質屋のおばあちゃんが言いました。
「本当ですか?ありがとうございます!!!夢がやっと叶います!!!」
『でも、あなたの“夢”をあげるのだから、それなりのモノを質に入れてもらいますよ。覚悟は出来てる?』
おばあちゃんは静かな声で言いました。
「何でしょう?俺の持っている物なら、何でも出しますよ!!」
『それじゃあ、貴方からは、関係を貰おうかねぇ。大切な関係性を。それで夢とつり合いますかねぇ。』
「…えっ?」
そうして、彼は何を質に入れたのか、よくわからないうちに二百万円を手にしたのでした。
彼はこのお金で無事に物件を買い、店を構え、長年の夢を叶えたのでした。