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風凛の部屋


[54] 魔女の質屋2-A。
詩人:風凛 [投票][編集]



しかし、―――




「おばあさん!…どういう事?あれは本当だったのか??酷いじゃないか!!!」
彼は自分の(元?)彼女と話した直後、質屋に駆け込みました。
おばあちゃんは冷静に言いました。
『貴方は関係を質に入れたんだよ。だから仕方有るまい。夢を叶えたいのなら、本物の強い覚悟が必要なんだよ。今から、あの子に記憶を返すことは出来るけど、あんたは夢を失うことになるよ。それでも記憶を戻すかい?』
もしここで記憶を戻したら、…俺に本当の覚悟が無い証明になっちまうな…
若者は頭が冷えました。
「そう…ですよね。夢の代償ですか。俺はとても…甘かったみたいです。時間を取らせてしまって、すいませんでした。」

彼は独り、質屋を後にしました。

彼はいろいろな事を考えました。
これからのこと。

今はひたすら店を頑張って、お金を返せば良い。
そうすれば、あいつの記憶を戻せる…

彼はその一心で、周りに目もくれずに働き続けました。


その後、店はそれなりに繁盛し、リピーターも増え、
――半年が過ぎた、ある日。


ガチャッ
[こんにちは。]
「…なっ!」
彼の店に(元)彼女がやってきたのです。彼は挨拶さえ忘れて固まりました。
(「なぜだ?まだお金は返せていないはずだが…?」)
[あの、ここでバイトさせて下さい。このお店、すごくいい雰囲気だったので。]
「え?あぁぁ、はい。ではこちらへどうぞ…」
こうして、かつての恋人がバイトにやってきたのです。
しかし、その関係は従業員と店長にかわりはありませんでした。


この頃ようやくお金が貯まり、質屋に返済が出来そうになりました。
彼は算段がつくなり、雨の中、引き出したばかりでパリパリの札束を掴み、質屋に飛び込みました。

「おばあさん!」
彼は叫びました。
肘掛けいすに座ったおばあちゃんが振り向きました。とても優しそうな顔でした。

2005/05/24 (Tue)

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