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トケルネコの部屋


[112] 【ビア樽の妖精】
詩人:トケルネコ [投票][得票][編集]



歯のない狼が言いました
「気分はツルツル噛み砕けない」
指紋のないゴリラが言いました
「未来はツルツル持ち上げれない」
眉のない虎が言いました
「視線はツルツル誰も目を合わせない」


鳩はのんびり糞を蒔き 月はひんやり刃を研いで


耳の欠けた黴パンは言いました
「娑婆は聞くに堪えない事ばかり」
四季の欠けた国は言いました
「南国だって半月で飽きるんよ」
指の欠けたトランペッターは言いました
「ヤクをやったらラリパッパー」


鳩はすっかり取り囲み 月はでっぷり赤ら顔


息を切らしたランナーが言いました
「世の中金や」
息を凝らしてシンナーを吸いました
「沈黙は金や」
胸の菩薩が微笑みました
「真実は闇や・・・」
背中の龍が緋を吹きました
「酒こそ神や!」


鳩は一斉に飛び上がり 月は一気に青褪めて


「ほなさいなら」
ヒのない顔して消えました



2009/12/21 (Mon)

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