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トケルネコの部屋


[191] 灰と従属
詩人:トケルネコ [投票][編集]

ブレゆく水面に踊る 左の頭のフランキスパス
健康の疎開と海馬の積み木
ムシバマレゆく万葉 空っぽの被告席の下
隠れた魚の目 果てしなく脆い世界

罰と疑い 夜を刺殺したサル
貨物列車の影が過る
ガスマスクと海 詩人と林檎の芯
車窓の子供が指を食い千切る モウスピードで消え去る
見よ それが燃える半月が如く滅びる予兆
額に滴る汗のような、紐のような影

夢でサナギになり飛び立つ事
現つで羽を毟りクチバシを延ばす事

鉛の剣玉 ガタガタ祈る入れ歯の快音
凝固が始まる 自分を産み出す
歌が途切れる 息が証人を喚ぶ

ソレがソレになるために
一つ一つのアキラメを溶かす
退情/蔑死/穿光/勇棄
床を腐食しながら歩む毒々しい三つ眼の蛙

忘れるな認めるな 満たされた笑みの下
重なる灰の上にあるのは − 果てしなく奪われる世界 −


2010/08/29 (Sun)

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