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トケルネコの部屋


[214] 硝子のセレナーデ
詩人:トケルネコ [投票][得票][編集]

その雨音は森をクリスタルに変える
無国籍の手の平に翡翠の呪文が踊る
ポーカーの衣擦れが偽りの靴を少女に手渡す夜

誰もうたかたの世界樹の根元で眠っている
イヤリングの瀬音 季節のオクターヴ
はみ出した靴下の群青は 音程をまだ知らない子供達の明日

その全てを気流に載せて最後の飛行機雲が浮かぶ
目陰をさして飛べない大人たちが手を振る

美しい山脈も
傷ついた清流も
優しいフォトグラフの平面をすべり
木造の駅舎に風だけが印す 愛という文字のない童話

徽章するイタミ 脈動する手首のタトゥ
誰もうたかたの証明を欲しがっている

黎明に翼を織ったライオンは 草原のたてがみを揺らす

その産声は閃光を放ち 万象の窓辺を掬いとり

あの結晶の森を蜃気楼に変えた



2010/07/12 (Mon)

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