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トケルネコの部屋


[217] それは宿命の尾根に隠れている
詩人:トケルネコ [投票][得票][編集]

星の無い夜に言葉が一つ流れていった

アレは誰のものか

オレは知らない

ダレも知らない

月の凍る未明に言葉が一つ固まっていた

コレは何処のものか

オレは知らない

ダレも知らない

沿線の乞食が言葉を二つ売っていた

ソレはいつのものか

オレはまだ買えない

淋しい目の少女が一切れ買っていく

海峡の船が瑞々しい言葉を幾つも獲っていた

アレは何処へ行くのか

オレは手を振った

浅黒い男たちがゆっくりと振り返した

赤道直下のマンホールに言葉がフッと滑り落ちていった

ソレは俺のものだと

ダレもが手を伸ばした

オレにはもう届かなかった


オレにはもう…伸ばせなかった



2010/08/19 (Thu)

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