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トケルネコの部屋


[216] 卒搭婆妓譚
詩人:トケルネコ [投票][得票][編集]

二つとして無い
不惑の回廊
御目麗しき
火焔の馭者

墓石を穿てば
指を断つ
官能を拡げては
蝶を射つ

眠りは白夜の恥じらい
言葉は自刎の挑発
欄間の黒龍
石積みの玄卓

心は蕭として流れ
首筋に氷の燐が流れる
痘痕の星空を脱がし

猫のよう
樫のよう
岩城のように
穹を嚼む

芳しい少女は淵の窓辺へ
風下の大蛇が泣く、啼く
移ろいは貌を綴じ
項の眼が青く啓く

木の葉の別離が夜を連れ
闇値の弦影が静かに過る

真砂の辺
形見の錐
傷つけてはまた葩吹雪

さながらの夢

うたかたの鏡像

2010/07/22 (Thu)

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