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トケルネコの部屋


[219] シャドーアリアドネ
詩人:トケルネコ [投票][得票][編集]

落ち葉に舞う椅子の写真
秋風がサフランの匂いを窓辺に飾る

ただクチビルで話す事と 喉を震わし祈る言葉は
千の針を呑み込むほど 違うものね

貴方はまだ忘れたくないと 世界地図を眺めてるけど
幾億の流れ星の去き着く場所なんて みつからない

それは名前の届かない風景

美しい波紋が流れることもなく
硝子の夜空に映っている


誰がダレの灯を奪うのか
神サマは綱引きの一方にはいないのよ
それは涙では溶けない秘密の物語

だから 時計の針を止めてばかりの手に
傷つき震えてばかりの紅い指先に
もう一度だけ最後のキスをさせて

貴方はまた取り戻したいと宇宙の果てを想うけど
幾億の流れ星の始まりでは 誰もずっと一緒なのよ


ただ 何度も夜は訪れるから
声を掠う秋風はクチビルを乾かすから

そっと祈ることしかできないと

空っぽの椅子に飾る影の重みが

柔らかく歩みだすことを許さないのね




2010/08/15 (Sun)

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