詩人:トケルネコ | [投票][編集] |
点滅する丘の上で一人の老人がタバコをふかす
足下にはシワだらけの犬が寄り添い
頭上では夜の六芒星が不確かな問いを奏でる
点景‥ 俯いた少年 赤い布キレ おぞましい河 たたずむ夕暮れ
つむじ風 ザラついた猫の眼 少女の乾いた額
明日は閃いた流れの傍に
盲いた怒りに口笛を与えてみる
ほつれた部屋の窓枠に 千年の埃が舞落ちる
アワイ アカイ アマイ アオイ 想い出だけが後悔と勇気の栞
クロイ クライ シロイ シカイ 焼き付いた望遠鏡を穹の海に還す
送別の今 椅子の上に散乱した薔薇と 灰色の詩集
親に兄弟に あの少女に
ありがとうとさようならは まるで双星のブランコ
明滅する時代 ダレかが詠む産声と 長いながい溜息に彩られて
丘の上で 波の狭間で 限りない光に包まれて
少年は夜を見ている