詩人:evans | [投票][編集] |
きょうも また
列島を吹き荒れる
彼らがやってきた
彼らが通った道
仲間たちは みんな
違う道を通って
いつもいつも
この時期になると
南から北への
大レース
これまでもぼくらを
困らせた彼らの通り道
君たちは昔はこんなに
強くなかったよね
いまは
ずいぶん長いレースを
するんだね
君たちはいろいろと
教えてくれているのかな
ぼくたち人間の傲慢さに
君たちはいろいろと
警告しているのかな
科学技術と利益最優先の
ぼくたち人間社会を…
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むかし見た思い出の山
むかし上野駅から
母と妹と3人で乗った
しなの路へ向かう
懐かしの特急列車
「あさま」
暑い夏の日
おばあちゃんの顔を
思い浮かべながら
藤村ゆかりの城下町への
想いを馳せて
鉄道唱歌のチャイムを
聴きながら旅立つ
釜めしを味わいながら
碓氷峠を越える
僅かな停車時間に感じる
海抜1000mのさわやかな風
進行方向 車窓右手に見える
雄大な山は いつもぼくらを
温かく迎えてくれた
母が9回も登った山
幼少のころ母に連れられ
出かけた鬼押し出し
おばあちゃんと手をつなぎ
「夕焼け小焼け」を歌い
歩いた信濃のあぜ道
いつも近くに
あの山はそびえていた
93年を生き抜いた
あなたは
いまは病床で意識も僅か
昨夜
あなたを見守りつづけた
あの山は
ぼくらとともに
悲しみの涙をながした
それは
信州小諸の城下町に
生きるおばあちゃんの
苦痛の叫びか
長年健気に生きた
おばあちゃんへの
励ましなのか
祖母との思い出の山
あさま山
あなたの言葉を
思い出す
「この山が噴火する年は
良くないことがあるんだよ」と
おばあちゃん
早く快復して・・・
もう一度
ぼくと話をして・・・
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さわやかな風吹く一日
日中の蒸し暑い一日
くりかえし
夏と手を取り合いながら
日々 少しずつ
現れる秋の季節
Tシャツを着る腕に
季節の変化を感じさせる
夕暮れの風
そして
夕日に輝いていた荒川鉄橋は
いつの間にか
淡い紺色に包まれて・・・
今夜も世界中の
あちらこちらで
平和を求める
虫の音が響きわたる
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「決して忘れてはいけませんぞ
この銀の器は正直な人間に
なるために使うのだと
あなたが私に約束したことは・・・」
最大のロマン主義
フランスの詩人は綴った
彼の永遠のテーマ
それは
人間の不運をなくすこと
奴隷制度を禁じること
悲惨を追放すること
無知を教育すること
病気を手当てし夜を照らし憎悪を憎むこと
「愛と正義」の旗を翻し
教育を施し社会に還元
全編をつらぬくヒューマニズム
そして 愛の力で人間を救おうとする物語
人間の道 平和の道
なんのために学ぶのか?
味覚と芸術と勉学の秋が
いよいよ訪れる
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その人の幸せを
本気で考えるから
厳しくなれる
その人のことを
心から想えるから
見栄を捨てられる
これが
本当の友情
これが
本当の愛
でも 焦っては
その気持ちは
伝わらない
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「人種差別を解決するにはどうしたら良いのか?」
黒人解放運動ゆえに27年もの長いあいだ
牢獄で過ごした彼は訴えた
「それは教育です」
わが人生の師匠
わが学び舎の創立者は語った
そして続けて言った
「あなたは大地に根を張る立派な大樹です
あなたのような大樹が何本も生い茂る
大地こそが希望のジャングルとなるでしょう。
そのために人間ひとり一人の心の中に平和の
砦を築くのが真の教育なのです」・・・と
この精神こそが
国を越え人種を越え文化や習慣の違いを
越えた平和の源泉となってゆく
ぼくもそのことを
深く心肝に染めながら
学びの日々を過ごしゆく・・・
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釜を開けると一斉に
湯気が立ち昇る
炊き立ての懐かしいもち米の
擂り鉢から漂う香ばしい黒ゴマの
大きな鍋に沸きあがる小豆の
器に入れた黄な粉の
部屋一杯に広がってゆく
秋の香り
大皿に並べられた
白く丸いお餅
グレー 小豆色 くすんだ黄色
次から次へと色ついてゆく
秋の彩り
祖母 母 妹と
ともにつくった
幼い日の
秋の思い出
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初めての一人旅
高校へ入学する前の春休み
新宿駅のホーム
登山客や旅行者で
できた長蛇の列
0:01
歌舞伎町のネオンに
見送られながら
信濃路へと旅立つ
硬い座席に揺られながら
眠れずに早朝の小淵沢へ
AM5:00過ぎ
雪に覆われた暗いホームに
ディーゼルカーの
エンジン音が響きわたる
闇が暁に変わり
紫色の空が次第に
白みゆく頃
列車は高原に向けて
走り出した
雪に覆われた白樺林の中
エンジン音を高らかに
急勾配を登りゆくと
進行左手に八ヶ岳が・・・
やがて
「1345.67m
国鉄最高地点」
看板が視界に飛び込んだ
「銀河鉄道の朝」という
言葉が似合う幻想的な風景
宇宙に一番近い鉄路
はじめて見る高原の風景
15歳の私の感動は
いまも鮮明に思い出す
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深夜の青森駅の階段を
昇りゆくと
町の灯とともに海が広がる
乗船名簿を書きながら
まだ見ぬ北の大地に
想いを馳せた
初めて海峡を見たのは
16歳の高2の夏
中学時代の友と二人
上野駅7:30発の
ひたち5号で旅立った
原ノ町から終着青森駅まで
鈍行を乗り継いでの旅は
若さと時間という
あのときでしかできない
お金では買えない貴重な体験
旅の本や雑誌などで何度も見た
演歌の歌詞でも良く聴いていた情景
やはり
実際に見ると感動が広がった
0:30
海峡の女王「八甲田丸」は
ゆっくりと桟橋を離れる
甲板に流れる「蛍の光」
宝石を散りばめたような
夜の港町がだんだんと
小さくなってゆく
やがて漆黒の大海原を
ひたすら進んでゆく
目覚めると
白みゆく空につつまれた
函館山と坂のある港町が
ぼくらを優しく迎えてくれた
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1878年から
開拓の歴史を見つめてきた
白い木造の建物
赤い屋根と星印
「あぁ 北の街へ来たんだなあ」
改めてそう感じた
写真で見たのと違うイメージ
思っていたよりも小さかった
ビルの谷間にひっそりと
佇んでいたからかもしれない
明治時代
開拓使の苦労のお蔭で築かれてきた
碁盤の目のように整備された街
遠く山々を望み
ポプラ並木の美しい
路面電車の走る北の街
ロマンのまち さっぽろ
♪この道は いつか来た道♪
♪ああ そうだよ♪
♪アカシヤの花が 咲いている♪
(北原白秋 作詞 山田耕筰 作曲)
札幌駅ホーム
夜行列車を待ち列に並ぶぼくらの耳に
鐘の音とともに聞こえてきた
優しく懐かしい郷愁のメロディ
あの感動的な音色は
いまも耳から離れない