詩人:evans | [投票][編集] |
3月中旬の朝
地下鉄に乗入れる私鉄電車の車内
車窓から見える澄み渡る青空
車内に差し込む春の陽光
下町の風景が右側から左へと
あらわれては流れ去っていく
荒川鉄橋をわたる
川面に反射する春の太陽
緑色の鉄橋を何気なく見る
よく見ると三角形が交互に連なる
連続したその模様は鋸の刃のよう
その鋸は大地に向けて
あるいは大空へ向けて
何かを断切ろうとしているようにも見える
それは
この地球上で日夜繰り返される
悲惨な事件、戦争、人種差別
人権軽視という川の流れ
懸命に生きる名も無き一庶民を
無視した悪しき権力という大気の流れ
この鉄橋は私たちが社会を変革しゆく
善の連帯の象徴であるかのよう
私たちがただ単に鉄橋として
佇んでいるだけでは世は変わらない
異体同心で団結して
橋から左右に延びる道路という
鋸の柄を動かす原動力に
ならなくてはならない
橋桁という悪しき権力や慣習を
断切ってゆくためにも…