詩人:どるとる | [投票][編集] |
5月、雨上がりの街爽やかな空気に包まれて
冷気を吸い込んだアスファルトが 夏の熱を冷ましてゆく
僕らは風鈴の音色を聴きながら いつの間にか夢の中 汗ばんだ午後縁側で見た夏の夢ひらり
淡雪のように溶けていく 僕の首筋を伝う汗さえも引いてゆくとなんだかどこか悲しくて 恋しくて
もう一度見たくなるよ
寝苦しい夜も笑っていられた蚊帳の中で見る夏の夢
どうしてだろう
意識さえも溶けてしまうほど暑い暑い夏なのにねなぜか嫌いになれないんだよ
みんなで楽しんだ花火も 賑やかな街のお祭りも 友達と行った釣りもキャンプも
思い出が美しすぎるから僕は忘れられない
幼い時の記憶とはもうだいぶかけ離れた
ただ暑いだけでそれに必死で耐えるだけの大人の僕の頭の中で今も輝いてる
自転車のペダルが回り続けて いくつかのカーブをむかえ たどり着いたこの夏も
きっと あの頃に負けをとらないような素敵な夏があるはずだから 探しに行きたいロマンチックな僕だよ
探してる夏はどこだい? 教えて 教えて
ネクタイもスーツも
革靴も パソコンも
携帯電話も 何もかも置き去りにして
会いに行きたい夏がある
僕が昔からずっと探してる 夏があるんだよ
きっとそれは蝉しぐれと共に僕らの心の中に訪れる もうひとつの夏
涼風に揺れる 風鈴の音色が聴こえる
ほらね夏がやって来ました 暑中見舞いも冷えたスイカも要らないからね
僕の元にもう一度
訪れておくれ
もうひとつの夏
それは幼い昔
僕がそこにいたことが当たり前だった
特別なことなどなにもなかったけど
ただそこにいるだけですべて夏を余すことなく感じられたような 夏の夢を見ていたんだよ 僕らは…
特別なことなんて
なにもなくていいから
今年こそ あの頃のような夏が来るといいな
縁側から見える庭に咲く 黄色いひまわりも朝顔も 凛として
僕が笑うのを待ってる。
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あるところに咲いた
一輪の名もなき花
太陽の陽射しを浴びて 真水をガブガブ飲んで 今日も僕の心臓は気持ち悪いくらいグロテスクにのた打ってる
おかげさまで ここでこうして 変わりなく生きられることにただ感謝しています
「生きてるというこの苦しみ、ありがとう」
咲いて咲いて
揺れて揺れて
一心に平和を願うんだ
明日が雨でも晴れでもいい 大好きなあなたが笑える世界ならばそれでいい
愚かな戦争はまだ つづいてる ばかは死んでもなおらないらしいね
理由もなく人を殺める人の心理は狂気
生まれたくて生まれたんじゃないよ
そんなことを今さらこぼしたってもう遅いよ あとは死ぬか生きるかだ
せっかくのこの命
無駄にはしないさ
平穏な毎日に何かが起こる
僕らは無傷じゃいられない
いつも
凛と
ただ凛と
そう凛と
咲く
あなたの
その
笑顔に
その
涙に
その
優しさに
僕は
滾々と溢れ出す
愛を抑えきれない
だからまだ
咲いてる
僕は名もなき花
あるところに咲いた
一輪の名もなき花
みんなの平和を願うんだ
意味などまるきり考えず
理由など詮索せず
ただ 凛と 咲いてみせるよ。
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だいすきなひとのそばでぼくはそのひとだけをあいしていたいよ ずっとしぬまで
ぼくはあなただけをこのせかいじゅうでいちばんあいしているよ
こころにつばさがはえたら きっとどこにいたって あなたへときもちとどけられるでしょう
あいのうたとなづけたぼくのこのきもちがあなたにまっすぐとどくようにねがってるよ
せかいじゅうのなかからあなたをえらんだぼくのこのあいであなたをしあわせにしてみせるから
どうかしぬまでぼくとたのしくいきていきましょう そしてかなしみあふれるよるもつらいときもいっしょにがんばっていきましょう
いつまでも。
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こんがらがってしまった思考に埋もれて頭の中いろんな考えでもう何も考えられないよ
教えてよ 僕らの行く先を照らす光はいつになれば僕らを守ってくれるの?
鈍行電車の窓から見た景色は こんなに美しいのに何ひとつなくなっていつか消えてしまうんだね
だからその前に僕が死ぬんだろう
世界が終わってしまうより僕が早くあの世にゆくんだ
教えてよ どうしようもないかなしみが空をにじませていくから
教えてよ 行儀よくいられない僕のこの感情を静まらせる何かがもしもあるなら
教えて
教えて
こんな僕でも迷わず拾うようなもの好きな神様がいるならば。
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いつまでも泣いていたって仕方ない
いつかは雨がやむように 僕も笑わなきゃ明日が見えない
やまない雨はない
明けない夜はない
その言葉がもしも本当なら僕はいつか笑えるはずだ
涙にさよなら
静まり返った街の片隅で奏でるメロディ
美しすぎて
こぼれる涙
傘のご用意を でもね全部は受け流せない
ずぶ濡れの僕の心が泣いている 泣いている でも素直になれたよ ほらね ほらね
上手に上手に 笑えるからさよならしよう
グッバイ 暮れゆく街の中 さみしさをぐっとこらえて僕は手を振るよ 流した涙に
そして抱きしめるよ
輝く笑顔を 今
涙にさよなら
笑顔にはこんにちは
出会い そして別れ
いくつもの曲がり角
真っ暗なトンネル
くぐり抜けたら
そこは未知なる世界
ほらね
ほらね
またあなたは泣くでしょう
だけれど その涙は天気雨 すぐにやんで
太陽が 照るでしょう
今わかってるのはそれだけだ
でもそれだけで十分だ
突然ですが思うんだ「生きてる」って素晴らしい。
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色あせてしまった空に電車が走る レールの上
僕の横を通り過ぎてゆく 緑と白の電車
ガタゴトガタゴト
不規則な僕の生活の中で 規則的なリズムが重なる時 僕は自分のいたらなさに時々深く傷つくんだ
見てごらん 1日が今終わってゆくよ
黄昏て 窓辺 立ち尽くしてさ 涙なんか流しちゃってる僕は
思ったんだ
それはまるで終わりゆく景色のようだと
遠ざかる電車の音がみょうにさみしくって泣いたんだ
ビルの屋上から沈む夕日を眺めた
あの夕日は何万年前も何万年後も変わらない景色なんだろう
あの夕日を記憶に刻みつけて 忘れないようにすることが変わりゆくこの街の中で僕に与えられたことだとしたらそれは
間違いじゃない
そう思うんだ
変わらないものを
今日もさがしていた
冷たいような
温いような
世の中の風に吹かれ
形のない 何かを残そうと走っていた
息を切らしてたどり着いたいつものこの寂れたビルの屋上で見た夕日に 手を振ったら なんだか何かが吹っ切れた
今日も何かが 僕の胸の中を 焼き尽くして 涙が止まらなくあふれたよ 何かが僕を抱きしめていったよ
何かが生まれたよ
本当だよ
夕刻屋上にて
見た景色を僕は忘れないよ
くだらない記憶だと
言わないで ずっと僕の胸の中に燃えてる夕日の色 同じようで違うから 変わらないもの 変わってしまうもの 切なさだけは変わらずに僕の瞳の中でずっと燃えている
さよなら
さよなら
また会うときは
きっと
きっと
もっと上手に
お別れできるかな
僕はこの場所できっと何十年後も 大切なものを 教えられるだろう 夕日よありがとう
静かにドアを開けて
ドアが静かに閉まったなら もう屋上には誰もいない
ただそこにはいつもの夜があるだけなのさ
僕はあえて何も残さない
形のない思いだけを心に刻みまた明日に歩き出す
心持ちも新たに
一歩また一歩。
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僕がもしも明日死んだら 一体誰が悲しんでくれるだろうか
事故で死ぬにしても
誰かに命を奪われるにしても 自分で命を絶つにしても きっとあなたの命はあなただけのものじゃないから 誰かしらは悲しんでくれるね
残された人たちの心に悲しみの花だけを残して
あなたは死んでゆくのかい?
涙がたくさん流れた
あなたのお葬式であなたが望んでいた最終回が来ましたよ
僕は歌おう 黒い賛美歌を 手向けに彼岸花を添えて 天国のあなたに届けたい この歌声を
さよなら 愛すべき友達よ
僕は悲しいよ
あなたが望んだ
死は悲しすぎて
鎌鼬のように
あなたの周りにいる人たちを容赦なく傷つけたから
夏の暑い日 あなたのお墓参り あなたが好きだった 花を生けましょう
あなたが生きていた頃は楽しかったのに
どうして あなたは
ここにいないのですか?短絡的な質問だね
道端で野垂れ死んでる 獣は腐臭を放ち
アスファルトにシミを残す あなたが残すのは悲しみだけじゃないか? 日記には悲痛な言葉が赤裸々に綴られていたけど
あなたが迎えた最終回は あなたの死を持って閉幕と相成ります
暑苦しい夏の日に照り返す陽射しに あなたの幻が無理に笑っていた
死んでも ぎこちない笑顔をするんだね
でも今はあなたがいないことがとてもさみしくてたまらないよ
できるなら
捧げたかった
この愛を
この身体を
あなただけに
早すぎる最終回が
僕からヒロインを
奪っていった
物語はされど続く
不似合いな主人公だけを残したまま。
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逃げ水が夏をつれてくる
暑い陽射しに焼かれたアスファルトは沸点をかるくこえる
ひまわりが揺れて
スイカにかじりついて
あなたの焼けた
黒い顔が
優しく笑う
それが僕の夏
ああ 今も思い出すよ
あなたの笑顔
それはまるであったのかがわからないようなとても 幻に近い思い出 かげろうのような記憶
ゆらゆら 揺れて
ギラギラ 太陽に焼かれて
あなたが笑っていたこの縁側であなたと競ったスイカの種飛ばし
どちらが勝ってどちらが負けたかなんて今になったらわからない
わからない
かすかな思い出がこの胸をくすぐる
幻のような記憶
かげろうのようなあなた
今でも元気かい?
焼けた黒い顔で
笑ってるかい?
もうすぐ夏は来るよ
6月 7月 8月
梅雨が来て 梅雨が開けたら ただ暑くて
ああ それでも笑ってる僕らは元気だ
あの幻の夏にまた会いたくなったよ
風鈴が鳴る
ひまわりが揺れる
五月雨の足音
夏よ 早く来い
遠い昔が幻に思えるほど楽しい夏よ早く来い。
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改札を出たら もう雨はやんでいた かわりによく晴れた夜空にまるい月が浮かんでいたよ
今日もいやなことばかり上司から押しつけられて
イヤミもさんざん言われたけれどあなたを思えば 大丈夫
家に帰る足取りがだんだん かるくなってく
こんな僕だって誰かを愛したり
誰かに愛されたりしたっていいじゃない?
何もできないくせにわがままな僕だけど あなただってわがままじゃないか
ここはお互い様ってことでお互いにゆるしあってバカみたいにそれでもたのしく暮らしていこう
アイラブユー
この世界で誰よりも愛してる
昼間は満員電車地獄
夜はマイホーム天国
そんな感じでいいんじゃない
愛してる
愛してる
何度も繰り返す。
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足元に咲いている
希望という花を
知らぬ間に
踏みつぶしていた少年時代
チャンスなど何度でも生きてるかぎり訪れる
そんな安易な考えでずっと生きてきたよ
繰り返す日々の中
かげりゆく街の中
僕は電柱の下
かすかな
灯りに照らされ
たたずんでいたよ
そんな青春時代
何をすべきか迷ってるうちにとうに終わってしまった六年間
僕は一体何を学んだのかな?それは
今まで僕が歩いてきた日々を無駄なんて思いたくないから
そのための自己防衛だ。全力で自分を守る
まだ夢はあきらめちゃいないとか
まだ可能性は死んでないとか
そんな見え見えの嘘で強がってる毎日
言い訳が重なるだけ
涙が流れてくだけ
悲しみが残るだけ
明日が曇るだけ
僕の中でまだ生き続ける少年の心よ
もうおやすみ
疲れただろう?
もういいんだよ?
目の前にそびえ立つ
見えない不安の壁
それをこえていくだけの勇気が僕にあるなら 最初からやってるさ 僕には無理なんだ
世の中の世知辛い
冷たい風にいつも吹かれて 射抜くような凍るような誰かの視線から逃れるように
現実から目をそらした
現実に背中を向けた
その内に何もかも
間に合わなくなっただけだよ べつに不思議なことはないんだ
わかってる
わかってるさ
無駄なことはでも
なにもないさ
あの涙も笑顔も
傷跡も少年の日のささやかな思い出も全て全て何らかの意味はあるだろうから
ずっと大切にしてゆくよ ある瞬間思い出して ほくそ笑めたら それは素晴らしいことだよ
さんざん現実から逃げてきたけど
今さら道を戻る気はないからさ
ばかだっていい
分からず屋だっていい
それもひとつの個性
大切なのはきっと今
僕が今をどれだけ愛せるか それが嘘ならば道を戻ればいい
みんな 追い越せ 追い抜けって中で ひとり出遅れたランナー
そうさ僕だよ
朝の光が今日も眩しい それだけでここにいる。